こんにちは。ボクのヒコーキ 運営者の「ひろかず」です。
ボーイング787のコックピットを写真や動画で見ると、大型画面が並ぶ近未来的な操縦席に驚きますよね。画面には何が表示され、たくさんあるボタンは何に使うのか、HUDや自動操縦はどこまでパイロットを支援するのか、気になる方も多いかなと思います。
さらに、ANAとJALの787に違いはあるのか、787-8・787-9・787-10でコックピットが変わるのか、ボーイング777や737、エアバスA350と比べて何が特徴なのかも知りたいところです。
この記事では、ボーイング787のコックピットの画像や360度動画を見るときに役立つ基礎知識から、操縦桿、液晶ディスプレイ、電子チェックリスト、電子フライトバッグ、夜間の操縦席まで分かりやすく解説します。実機の見学場所や787シミュレーターについても紹介するので、あなたの疑問をまとめて解消できるかなと思います。
- コックピットにある装置の配置と役割
- 大型ディスプレイとHUDの表示内容
- 自動操縦とパイロットの実際の仕事
- 他機種との違いと実機を見学する方法
ボーイング787のコックピットの特徴
ボーイング787のコックピットは、単に画面を大きくした操縦席ではありません。飛行情報、エンジン、機体システム、警報、チェックリストなどを統合し、2人のパイロットが必要な情報へすばやく到達できるように設計されています。まずは、どこに何が配置されているのか、基本構造から見ていきましょう。
- 操縦席全体の配置と役割
- 5面の大型液晶ディスプレイ
- 両席に備わるHUDの仕組み
- 電子チェックリストとEFB
- 操縦桿と各種ボタンの役割
- 自動操縦でできること
操縦席全体の配置と役割
ボーイング787ドリームライナーのコックピットは、機長と副操縦士の2人で運航するグラスコックピットです。正式にはフライトデッキとも呼ばれ、左席に機長、右席に副操縦士が座るのが基本です。
以前の旅客機では、速度計、高度計、エンジン計器などが個別に並んでいました。787では、それらの情報を大型液晶ディスプレイへまとめています。そのため、一見するとスイッチが少なく、とてもすっきりした印象を受けるかも。
とはいえ、画面だけを触って飛ばすわけではありません。正面には操縦桿、中央にはスロットルレバー、頭上には電源や燃料を管理するスイッチが残されています。重要な操作を目と手の両方で確認できるよう、電子表示と物理的な操作装置を組み合わせているのがポイントです。
正面計器パネル
パイロットの正面にあるのが、飛行に必要な情報を表示する計器パネルです。姿勢、速度、高度、方位、飛行経路、気象、地形、他機の位置、エンジン状態などを確認できます。
表示内容は常に同じではありません。離陸、巡航、進入、着陸といった飛行段階や、機体の状態に合わせて切り替えられます。異常が起きた場合には、通常の飛行情報に加えて警告や対処手順も表示されます。
グレアシールド
正面ディスプレイの上にある横長の操作部分がグレアシールドです。ここでは、オートパイロットに与える目標速度、高度、方位、上昇率、降下率などを設定します。
航空管制から高度変更の指示を受けたときも、この部分のダイヤルやスイッチを使います。自動操縦が作動していても、どこへ、どの高度で、どの速度で飛ぶのかを判断して設定するのはパイロットです。
センターコンソール
機長席と副操縦士席の間には、スロットルレバー、フラップレバー、スピードブレーキレバー、無線通信装置、ディスプレイ用の操作装置などがあります。
スロットルレバーは左右のエンジン推力を調整する装置です。オートスロットルが推力を調整すると、レバー自体も動くため、パイロットはシステムが出している指示を視覚的に確認できます。
オーバーヘッドパネル
頭上のオーバーヘッドパネルでは、電源、発電機、バッテリー、燃料、油圧、空調、与圧、防氷、外部灯火、非常設備などを管理します。
787は、電気を積極的に利用するモア・エレクトリック・エアクラフトです。従来機がエンジンから取り出した圧縮空気に頼っていた機能の一部を、電気式の装置へ置き換えています。そのため、見た目だけでは分かりにくいものの、機体システムの考え方にも大きな変化があります。
- 正面計器パネルは飛行情報や機体状態を表示する
- グレアシールドは自動操縦の目標値を設定する
- センターコンソールは推力やフラップなどを操作する
- オーバーヘッドパネルは電源や燃料などを管理する

5面の大型液晶ディスプレイ
787の主計器には、対角約15.1インチの大型液晶ディスプレイが5面使われています。正面に4面、機長席と副操縦士席の間に1面という構成です。
左右には電子フライトバッグ用の画面もあるため、コックピット写真によっては「全部で7画面あるのでは」と感じるかもしれません。主計器用の大型画面が5面あり、それとは別に左右のパイロット用端末があると整理すると分かりやすいです。
大型画面は、一つの表示だけに固定されていません。状況に応じて、飛行計器、地図、エンジン、機体システム、チェックリストなどを表示できます。画面の一部に別の情報を組み合わせることもでき、必要なデータを見比べやすくしています。
PFDに表示される飛行情報
PFDはプライマリー・フライト・ディスプレイの略で、パイロットが操縦中に最も頻繁に見る画面です。
機体が上を向いているか下を向いているか、左右へどれほど傾いているかを示す姿勢表示を中心に、対気速度、高度、方位、昇降率、電波高度などがまとめられています。オートパイロットやフライトディレクターが、どのモードで作動しているかも確認できます。
つまり、従来の速度計、高度計、姿勢指示器、方位計を一つに集約した画面です。ただ情報量を増やすのではなく、パイロットが視線を大きく動かさず確認できるように整理されています。
NDとVSDで飛行経路を確認
NDはナビゲーション・ディスプレイの略です。現在位置、予定ルート、空港、航空路、ウェイポイント、風向、風速などを、上空から見た地図のように表示します。
気象レーダーの情報を重ねれば、進行方向に強い雨や雷雲がないか確認が可能です。周辺を飛行する航空機や地形も表示できるため、パイロットの状況認識を助けます。
VSDは垂直状況表示です。NDが上から見た地図であるのに対し、VSDは進行方向を横から見た断面図として表します。
現在の高度、予定された上昇・降下経路、地形、高度制限の関係を確認できるため、山岳地帯や複雑な進入経路でも状況をイメージしやすいです。目的地へ向けて、どの位置から降下を始めるかを確認するときにも役立ちます。
EICASとシステム表示
EICASは、エンジンの状態と乗員への警報を統合表示するシステムです。エンジン回転数、温度、燃料流量などに加え、機体で発生した異常や注意事項を重要度に応じて表示します。
燃料、電気、油圧、空調、飛行操縦系統などは、系統図として画面に呼び出すことが可能です。例えば燃料画面を見ると、各タンクの残量だけでなく、ポンプやバルブがどのような状態になっているかも把握できます。
| 表示 | 主な役割 | 代表的な情報 |
|---|---|---|
| PFD | 機体を操縦するための基本表示 | 姿勢、速度、高度、方位、昇降率 |
| ND | 飛行経路を上から確認 | ルート、空港、気象、他機、地形 |
| VSD | 高度関係を横から確認 | 降下経路、高度制限、地形 |
| EICAS | エンジンと警報を確認 | エンジン数値、警告、注意事項 |
| システム表示 | 機体内部の状態を確認 | 燃料、電気、油圧、空調 |
両席に備わるHUDの仕組み
787のコックピットで特に目を引くのが、機長席と副操縦士席の両方に備わるHUDです。HUDはヘッドアップディスプレイの略で、パイロットの目の前へ透明な板状の表示装置を下ろして使います。
HUDには、速度、高度、機体姿勢、方位、飛行経路、着陸進入の指示などが表示されます。外の景色に情報が重なって見えるため、パイロットは正面を見たまま飛行状態の確認が可能です。
通常の計器では、外の滑走路とコックピット内の画面へ交互に視線を移さなければなりません。HUDを使えば、その移動を減らせます。特に離陸、進入、着陸など、外の状況と計器情報の両方が重要になる場面で効果を発揮します。
左右両席にHUDが標準装備されていることは、787の大きな特徴です。機長だけでなく副操縦士も同じように情報を確認でき、2人で飛行状況を共有しやすくなっています。
- 現在の対気速度と目標速度
- 現在高度と目標高度
- 機体の姿勢と方位
- 実際に向かっている飛行経路
- 上昇・降下の状態
- 着陸進入の誘導情報
- オートパイロットやフライトディレクターの指示
HUDに表示される飛行経路は、単に機首が向いている方向とは限りません。横風などがあると、機首方向と実際の進行方向に差が生まれます。飛行経路を視覚的に把握できる点は、着陸時の状況認識にも役立ちます。
HUDは霧を透視する装置ではありません
標準的なHUDは、飛行情報を透明板へ投影する装置です。HUDを下ろしただけで、濃霧や雲の向こうにある滑走路が映像として見えるわけではありません。赤外線カメラなどを利用する拡張視覚システムとは区別して考える必要があります。

電子チェックリストとEFB
787では、通常時と異常時に使用する多くのチェックリストが電子化されています。パイロットは紙を順番にめくるのではなく、コックピットの画面で項目を確認するのです。
機体システムと連動できる項目は、スイッチ操作などが完了すると実施済みとして表示されます。まだ終わっていない項目が分かりやすいため、確認漏れを防ぐ助けになります。
ただし、すべてをコンピューターが判定するわけではありません。機外の状態、乗員同士の確認、目視で判断する内容などは、パイロットが手動で確認します。電子チェックリストはパイロットを支援する装置であって、判断そのものを引き受ける装置ではありません。
異常が起きたときの流れ
機体に異常が検出されると、EICASに警告や注意メッセージが表示されます。内容に対応した電子チェックリストを呼び出し、機長と副操縦士が役割を分担しながら手順を進めます。
一人が機体の操縦と監視を担当し、もう一人がチェックリストや通信を担当するのが基本です。どれほど自動化が進んでも、2人が声に出して確認し合う仕組みは安全運航に欠かせません。
EFBで扱う情報
EFBはエレクトロニック・フライト・バッグの略で、日本語では電子フライトバッグと呼ばれます。以前、パイロットがバッグへ入れて持ち込んでいた大量の航空図やマニュアルを電子化する仕組みです。
航空会社の装備仕様によって固定式や携帯端末式などの違いがありますが、主に次の情報を扱います。
- 空港や誘導路の地図
- 出発・到着経路
- 着陸進入図
- 機体や運航に関するマニュアル
- 離陸・着陸性能の計算
- 重量とバランス
- 気象情報や運航書類
紙の量を大幅に減らせるため、787のコックピットは「ほぼペーパーレス」と表現されることがあります。必要な情報を検索しやすく、資料の更新を反映しやすいのも利点です。
電子化されても確認作業はなくなりません
電子チェックリストとEFBは、情報を整理して作業を助ける道具です。入力された経路や数値が正しいか、表示された内容が現在の状況と合っているかは、最終的にパイロットが確認します。
操縦桿と各種ボタンの役割
787は、エアバス機で見られるサイドスティックではなく、パイロット正面にヨークと呼ばれる操縦桿を備えています。
ヨークを左右へ回すと機体を左右へ傾け、手前へ引くと機首を上げ、前へ押すと機首を下げます。足元のラダーペダルでは方向舵を操作し、ペダル上部を踏むことで車輪ブレーキも作動。
地上走行で大きく向きを変える場合は、前輪を操向する別の装置も使用します。空中で方向を変える操作と、地上で誘導路を曲がる操作は、同じものではありません。
フライ・バイ・ワイヤの操縦
787のヨークやペダルは、操作を電気信号として飛行制御コンピューターへ伝えます。コンピューターが内容を計算し、補助翼、昇降舵、方向舵、スポイラーなどを動かすデジタル・フライ・バイ・ワイヤです。
従来の大型機のように、操縦桿と主要な操縦翼面がワイヤーだけで直接つながっているわけではありません。
コンピューターは、機体を安定させ、過大な操作を抑え、速度超過や失速に近づいたことをパイロットへ伝える役割を持ちます。突風に対して操縦翼面を細かく動かし、揺れを軽減する制御にも関係しています。
それでも、パイロットの操作を何でも強制的に拒否する仕組みと考えるのは正確ではありません。ボーイングは、従来機に近い操縦感覚や操作反力を残し、パイロットが機体の状態を手の感覚でも受け取れる設計を重視しています。
左右のヨークが連動する理由
機長と副操縦士のヨークは連動します。一方がヨークを動かすと、反対側もその操作に合わせて動くのです。
これにより、相手がどちらへ、どの程度操作しているのかを目で見て確認できます。ヨークへ手を添えていれば、動きや力のかかり方からも操作を感じ取れます。2人で同じ機体を操縦する旅客機では、大切な情報共有の一つです。
ボタンを画面だけにしない理由
787の主画面はタッチパネルだけで操作するものではありません。カーソル操作装置、専用キー、ダイヤル、スイッチなどを使います。
重要な機能を物理スイッチとして残せば、パイロットは指先の感触でも位置や操作状態を確認できます。揺れている状況でも操作しやすく、誤って別の項目へ触れる可能性を抑えられるのです。
787は画面だけで飛ばす航空機ではありません
大型液晶画面は情報の表示と整理を担当し、ヨーク、スロットル、ペダル、レバー、スイッチが実際の操作を支えています。デジタルと物理装置を適材適所で使い分けたコックピットです。

自動操縦でできること
787の自動操縦は、パイロットが飛行管理システムへ入力した経路や、グレアシールドで設定した速度、高度、方位などに従って機体を制御します。
主にできることは、飛行経路の追従、指定高度の維持、上昇と降下、速度管理、推力調整、計器着陸進入などです。機体、空港設備、天候、乗員資格、航空会社の承認といった条件を満たせば、自動着陸にも対応できます。
ただし、自動操縦は目的地を考えて勝手に飛ぶ装置ではありません。どの経路を選び、どの高度と速度を設定し、いつモードを切り替えるかはパイロットが管理します。
離陸から着陸までの仕事
出発前には、機体状態、整備記録、天候、航路、燃料、代替空港などを確認します。飛行管理システムへ経路を入力し、機体重量や滑走路条件から離陸性能も計算。
地上走行では、空港図と管制指示を確認しながら誘導路を進みます。離陸滑走は通常、パイロットがスロットル、方向、速度を監視しながら手動で行います。
上昇してオートパイロットを接続した後も、パイロットは航路、燃料、気象、周辺の航空機、エンジン、機体システムを監視。雷雲が進行方向にあれば、管制官と連絡を取り、迂回経路を選択します。
目的地へ近づくと、到着経路、着陸進入方式、滑走路、進入速度を設定します。フラップと着陸装置を展開し、手動または自動操縦で進入。
着陸は日常的に手動でも行われます。接地後はスポイラー、逆噴射、車輪ブレーキを使って減速し、誘導路へ出ます。
- 航空管制との通信
- 飛行経路と高度の確認
- 燃料消費と残量の管理
- 気象レーダーによる雷雲の回避
- 他機と地形の監視
- エンジンと機体システムの確認
- 自動操縦モードの監視
- 異常発生時の判断と対応
自動操縦はパイロットの仕事をなくすのではなく、細かな姿勢維持を担当し、乗員が運航全体の判断へ集中できるようにするものです。便利な装置ですが、入力を誤れば意図と違う動きをする可能性もあるため、作動状態の継続的な確認が欠かせません。
自動着陸はいつでも使えるわけではありません
自動着陸には、対応した機体と滑走路設備、必要な視程、適切な整備状態、資格を持つ乗員、航空会社の運航承認などが関係します。実際の運用条件は航空会社や空港によって異なるため、正確な情報は公式サイトでのご確認をお願いします。実機の運航や安全に関する最終的な判断は専門家にご相談ください。
ボーイング787のコックピットを比較
787のコックピットをより深く理解するには、787シリーズ内の違いや、777、737、A350との設計思想の違いを見るのが近道です。写真では似て見える機体でも、操縦装置や画面構成、パイロットの資格には大きな違いがあります。実機見学やシミュレーターについても合わせて紹介します。
- 787の各モデルによる違い
- 777や737との違い
- エアバスA350との違い
- 実機見学とシミュレーター体験
- ボーイング787のコックピットまとめ
- ボーイング787のコックピットに関するよくある質問
787の各モデルによる違い
ボーイング787には、787-8、787-9、787-10の3モデルがラインナップ。胴体の長さ、座席数、重量、航続距離、離着陸性能などは異なりますが、コックピットの基本配置と操作思想は共通しています。
| モデル | 位置づけ | コックピット上の主な関係 |
|---|---|---|
| 787-8 | シリーズの基本型 | 787共通設計の基礎となる |
| 787-9 | 胴体を延長した主力型 | 重量や性能に応じた数値と手順が異なる |
| 787-10 | シリーズ最長型 | 長い胴体や離着陸性能に応じた違いがある |
3モデルのどれに乗っても、乗客から見える機内は座席配置や設備が大きく異なることがあります。一方、操縦席は、パイロットが一から別の配置を覚え直すような設計ではありません。
違いは主に、機体重量、性能データ、離陸速度、着陸速度、飛行管理システムの設定、運航手順などに現れます。見た目が共通していても、同じ数値で飛ばせるわけではないということです。
エンジンによる違い
787では、ゼネラル・エレクトリック製GEnxまたはロールス・ロイス製Trent 1000が採用されています。航空会社がどちらを選んでいるかによって、エンジン性能、表示項目、整備、異常時手順の一部が異なります。
ただし、エンジンが違うからといって、コックピットの基本配置がまったく別物になるわけではありません。画面上の情報と運航手順を、その仕様に合わせて管理します。
ANAとJALで違いはあるのか
ANAとJALが運航する787も、基本的なコックピット設計は同じです。ただし、採用するエンジン、電子フライトバッグ、通信機器、ソフトウェア、運航規程などには航空会社ごとの違いがあります。
インターネット上のANAやJALのコックピット動画で表示や端末が少し違って見える場合は、機体モデル、製造時期、改修内容、航空会社仕様の差が考えられます。
787-8、787-9、787-10は、操縦席の骨格を共通化しながら、それぞれの機体性能に必要な数値や手順を変えています。外観上の共通性と、運航上の完全な同一性は分けて考えると分かりやすいです。
777や737との違い

787のコックピットは、ボーイング777の設計思想を発展させています。ヨークを使うフライ・バイ・ワイヤ、電子チェックリスト、画面表示の考え方などに共通点があります。
パイロットが別の機種へ移るときの負担を減らすため、スイッチ配置、表示方法、操縦感覚にも共通性を持たせています。承認された差異訓練によって、777と787の間を比較的短期間で移行できる制度があるのも、この設計によるものです。
ただし、必要な資格、訓練時間、審査、乗務条件は、国の航空当局や航空会社によって異なります。「777を飛ばせれば、そのまま無条件で787にも乗れる」という意味ではありません。
従来型777との比較
| 比較項目 | 787 | 従来型777 |
|---|---|---|
| 主画面 | 15インチ級の大型画面5面 | 比較的小さな画面を複数配置 |
| HUD | 左右両席に標準装備 | 機体や航空会社の仕様による |
| 操縦装置 | ヨーク | ヨーク |
| 操縦方式 | フライ・バイ・ワイヤ | フライ・バイ・ワイヤ |
| チェックリスト | 電子式 | 電子式 |
| 機体システム | 電気化を大幅に拡大 | 圧縮空気を使う装置が比較的多い |
なお、新しい777Xのコックピットには、787に近い大型ディスプレイや新しい操作技術が採用されています。「777と787の違い」を調べるときは、従来型777と777Xを混同しないことが大切です。
737との比較
737もヨークを採用するボーイング機ですが、787とは基本設計の世代が大きく異なります。
787はワイドボディの長距離機で、主要な飛行操縦系統にデジタル・フライ・バイ・ワイヤを採用。一方、737は長い歴史の中で改良を重ねてきたナローボディ機で、従来設計を継承している部分が多くあります。
787のほうが画面が大きく、機体システムやチェックリストの統合範囲も広いです。HUDについても、787は左右両席に標準装備ですが、737では機体や航空会社の採用仕様によって異なります。
ヨークやスロットルがあるため雰囲気は似ていますが、オーバーヘッドパネル、センターコンソール、システム構成、操作手順は別物です。737の資格だけで787を操縦することはできません。
エアバスA350との違い
ボーイング787とエアバスA350は、同世代の長距離ワイドボディ機としてよく比較されます。どちらも大型ディスプレイ、フライ・バイ・ワイヤ、自動操縦、電子チェックリストなどを備えていますが、操縦装置と設計思想にははっきりした違いがあります。
| 比較項目 | ボーイング787 | エアバスA350 |
|---|---|---|
| 主操縦装置 | 正面のヨーク | 側面のサイドスティック |
| 左右席の連動 | ヨークが物理的に連動 | サイドスティックは物理的に連動しない |
| 操縦感覚 | 従来機に近い反力を重視 | コンピューター制御を強く統合 |
| HUD | 左右両席に標準装備 | 航空会社の採用仕様による |
| 主画面 | 大型液晶5面 | 大型ディスプレイ6面が基本 |
787はヨークを正面に残し、操縦したときの反力や左右の連動を重視。A350はサイドスティックを採用しているため、パイロット正面のスペースを広く使えます。
A350の左右サイドスティックは物理的に連動しないため、相手側のスティックを見ても動きは分かりません。その代わり、音声警告や表示、乗員同士の声による確認を含めた仕組みで操作を共有します。
どちらが単純に優れているという話ではありません。パイロットへどのように情報と操縦感覚を伝えるかについて、ボーイングとエアバスが異なる考え方を採用しているという違いです。
見分ける最大のポイント
操縦席の写真を見たとき、パイロット正面に大きなヨークがあれば787、左右の窓側に小さなサイドスティックがあればA350と見分けやすいです。
コックピット内部ではヨークとサイドスティックが大きな判別ポイントですが、機体の外側から見る場合は、コックピット窓、エンジン後端、翼端の形に注目します。空港や写真でのボーイングとエアバスの見た目の違いは、こちらの記事で機種別に詳しく解説しています。
実機見学とシミュレーター体験
運航中の787では、乗客が飛行中に自由にコックピットへ入ることはできません。保安上、飛行中はコックピットドアが施錠され、入室できる人が厳しく制限されています。
搭乗前や到着後にドアが開いている場合もありますが、見学できるかどうかは航空会社、空港、運航状況、保安上の判断、乗員の都合によります。お願いすれば必ず入れるものではありません。
セントレアで787初号機を見学
日本で787の実機を間近に見られる代表的な施設が、中部国際空港セントレアのフライト・オブ・ドリームズです。
屋内には、ボーイング787の飛行試験初号機であるZA001が展示されています。この機体はANAの塗装をまとった営業運航機ではなく、787の開発に使われたボーイングの試験機です。
施設の運用内容によっては、実機のコックピットを見学できます。大型ディスプレイ、ヨーク、スロットルレバー、オーバーヘッドパネルなどを実際の距離感で見られるのは貴重です。
写真では広く見えても、実際のコックピットは多くの装置がパイロットの手の届く範囲へ集められています。実物を見ると、人が操作する仕事場として設計されていることがよく分かるでしょう。
見学時間、入場方法、撮影ルール、利用できるエリアは変更される場合があります。訪問前には、正確な情報を公式サイトをご確認ください。
787シミュレーターの種類
787シミュレーターには、航空会社が訓練で使うフルフライトシミュレーター、一般向け体験施設、家庭用フライトシミュレーターなどがあります。
訓練用のフルフライトシミュレーターは、実機に近い操縦席、画面表示、操作荷重、機体の揺れ、外の映像を再現。通常運航だけでなく、エンジン故障、悪天候、機器異常など、実機で安全に繰り返すことが難しい訓練にも使われます。
一般向け体験シミュレーターでは、離陸や着陸を中心に楽しめます。施設によって再現度、操縦時間、インストラクターの有無など、利用条件が異なることも。
家庭用ソフトでも787のコックピットを体験できますが、製品によって再現度には差があります。画面の形が似ていても、飛行特性、警報、チェックリスト、機体システムが簡略化されていることがあるので、実機の訓練装置とは分けて考えましょう。

画像や360度動画の注意点
インターネット上の787コックピット画像や360度動画には、実機、試験機、展示機、訓練用シミュレーター、家庭用ソフト、CGが混在しています。
- 画面が消えている写真は電源投入前の可能性がある
- 表示内容は離陸や巡航などの飛行段階で変わる
- EFBを含めると画面数が多く見える
- 航空会社ごとに追加装備や端末が異なる
- 試験機と量産機では一部装備が異なる
- 777Xの画像が787として紹介される場合がある
- 家庭用シミュレーターは実機と動作が異なる場合がある
夜のコックピット写真が暗く見えるのは、外の灯火を見つけやすくし、窓への映り込みを抑えるためです。ディスプレイ、スイッチ、足元、オーバーヘッドパネルの照明を、必要な明るさに調整しています。
また、ブログなどで航空会社やボーイングの写真を使用する場合は、公開されているから自由に転載できるとは限りません。著作権、利用条件、撮影施設の規則を確認し、判断が難しい場合の最終的な判断は専門家にご相談ください。
ボーイング787のコックピットまとめ
ボーイング787のコックピットは、15インチ級の大型液晶ディスプレイ5面、左右両席のHUD、電子チェックリスト、電子フライトバッグなどを統合した、2人乗務用のグラスコックピットです。
近未来的な画面が目立ちますが、操縦は画面だけで行うわけではありません。ヨーク、スロットル、ペダル、レバー、物理スイッチを残し、デジタル表示と手の感覚を組み合わせています。
フライ・バイ・ワイヤや自動操縦は、機体を安定させ、パイロットの作業負担を減らします。それでも、経路、速度、高度、天候、燃料、機体状態を監視し、最終的に判断するのはパイロットです。
787-8、787-9、787-10は基本的な操縦席を共通化していますが、重量、性能、エンジン、ソフトウェア、運航手順には違いがあります。ANAとJALの機体にも、採用装備や運航規程による差があります。
777とは操縦感覚や表示思想に共通点が多く、737とは設計世代とシステム構成に違いが。A350との分かりやすい違いは、787がヨーク、A350がサイドスティックを採用している点です。
- 主計器は15インチ級の大型液晶画面5面
- 機長席と副操縦士席の両方にHUDを装備
- ヨークを使うデジタル・フライ・バイ・ワイヤ
- 電子チェックリストとEFBで情報を統合
- 自動操縦中もパイロットが運航を監視する
- 787の3モデルは基本的な操縦席を共通化
写真で見ると複雑なボーイング787のコックピットも、それぞれの装置を役割ごとに分けると理解しやすくなります。次に画像や動画を見るときは、正面画面、HUD、ヨーク、スロットル、オーバーヘッドパネルへ順番に注目してみてください。これまでとは違った見え方になるかなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
