飛行機の翼の先が曲がってるのはなぜ?形状と名称・効果を解説

ウィングレットを備えて雲海上を旋回する旅客機
※ 本記事はAIを活用して作成しています。内容は運営者が確認・編集のうえ公開しています。

こんにちは。ボクのヒコーキ 運営者の「ひろかず」です。

空港や機内の窓から飛行機を見ていて、翼の先が上向きに曲がってるのはなぜだろう、と気になったことはありませんか。飛行機の翼の先が立ってるように見えたり、上下に二股になっていたり、後ろへ細長く伸びていたりすると、理由が気になりますよね。

多くの場合、その部分はウィングレットなどと呼ばれる翼端装置です。飛行機の翼端渦を抑え、誘導抗力を減らすことで、燃費や航続距離、上昇性能を改善する目的があります。

ただし、すべてが同じウィングレットではありません。A320のウィングチップフェンスとシャークレット、737 MAXの二股型、787のレイクドウィングチップなど、機種ごとに形と名前が違います。

飛行機の翼の先が上向きに曲がったウィングレット
飛行機の翼の先が上向きに曲がったウィングレット:ボクのヒコーキ・イメージ画像

この記事では、飛行機の翼の先端が上向きになる仕組みから、ウィングレットの効果とデメリット、シャークレットとの違い、787の翼がしなる理由、777Xの折りたたみ翼まで、初めて調べるあなたにも分かりやすく整理します。

この記事を読んでわかること
  • 飛行機の翼の先が曲がっている理由
  • ウィングレットと翼端渦の仕組み
  • 翼端装置の種類と見分け方
  • 787や777Xの特徴的な翼の構造
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目次

飛行機の翼の先が曲がってる理由

飛行機の翼の先が曲がっている一番の理由は、翼端付近の空気の流れを整えて、飛行中に発生する余分な空気抵抗を減らすためです。見た目のアクセントや機体を安定させる飾りではなく、空力性能を高めるために細かく設計された部分なんですね。

ここでは、翼の先端の名前、翼端渦が生まれる仕組み、燃費への効果、運航性能への影響、追加することで生じるデメリットまで順番に見ていきます。

  • 翼の先端の名前はウィングレット
  • 翼端渦が発生する仕組み
  • 誘導抗力を減らして燃費を改善
  • 航続距離や上昇性能への効果
  • ウィングレットのデメリット

翼の先端の名前はウィングレット

飛行機の翼の先端で、斜め上や上向きに伸びている小さな翼面は、一般的にウィングレットと呼ばれます。英語のwingと、小さいものを表すletを組み合わせた言葉で、直訳に近いイメージでは小さな翼です。

ただし、翼の先にある形状を何でもウィングレットと呼ぶのは、厳密には少し違います。主翼の最も外側にある場所そのものはウィングチップ、翼端の空力性能を改善する装置や形状の総称はウィングチップ・デバイスです。

用語を簡単に整理
  • ウィングチップは主翼の一番外側にある部分
  • ウィングレットは翼端に付けられた小さな翼面
  • ウィングチップ・デバイスは翼端装置全体の総称
  • シャークレットはエアバスが使用する名称

翼端装置には、垂直に近いものだけでなく、上下へ伸びるタイプや、主翼を水平に近い方向へ延長したタイプもあります。そのため、あなたが見た飛行機の翼の先が曲がっていたとしても、それが独立したウィングレットとは限りません。

たとえば、ボーイング787の翼端は後方へ細長く延びたレイクドウィングチップです。エアバスA350のように、主翼から翼端までが滑らかにつながり、全体として反り上がって見える機体もあります。

翼の先が上に立っていればウィングレットである可能性が高いものの、機種によって正式名称や構造は異なると覚えておくと分かりやすいかなと思います。

翼端渦が発生する仕組み

ウィングレットの役割を理解するには、まず翼端渦がどのように生まれるのかを知ることが必要です。

飛行中の主翼では、翼の上側と下側に圧力差が生まれます。大まかにいえば、翼の下面側は上面側より圧力が高く、この圧力差によって機体を持ち上げる揚力が発生するのです。

翼の中央付近では、翼面が仕切りになるため、上面と下面の空気が簡単に混ざることはありません。ところが翼の先端では翼面が終わるため、下面側の比較的高圧な空気が、翼端の外側を回り込んで上面側へ流れようとします。

この回り込む流れが後方へ流れる空気と結び付き、らせん状の渦になります。これが翼端渦です。左右の翼端からは、それぞれ反対方向に回転する一対の渦が発生します。

翼端渦が生まれる流れ

主翼が揚力を発生するために上下の圧力差が生まれ、下面側の空気が翼端を回って上面側へ移動し、その流れが後方で巻き上がって渦になります。

翼端渦を含む後流は、翼の周囲の空気を下向きに傾けます。この下向きの流れがダウンウォッシュです。ダウンウォッシュが発生すると、翼に働く空気力も少し後ろへ傾きます。

空気力を上向きと後ろ向きの成分に分けたとき、上向きの成分が揚力で、後ろ向きの成分が誘導抗力です。つまり誘導抗力は、単純に渦が機体を後ろから引っ張っているというより、揚力を生み出す有限の翼に伴って、空気力の向きが後方へ傾くことで発生します。

ウィングレットは壁のように空気を完全に遮断する部品ではありません。ウィングレット自体も小さな翼として空気力を発生させ、翼端付近の揚力分布や空気の流れを整えます。

その結果、限られた翼幅の中でも、実際より翼が長くなったような空力的効果を得やすくなるわけです。

翼端渦が完全になくなるわけではありません

有限の翼が揚力を発生する限り、後流には渦や循環が残ります。ウィングレットは渦の集中度や巻き上がり方、翼全体の荷重分布を改善する装置であり、翼端渦を完全に消す装置ではありません。

ウィングレットの有無による翼端渦と気流の違い
ウィングレットの有無による翼端渦と気流の違い:ボクのヒコーキ・イメージ画像

誘導抗力を減らして燃費を改善

ウィングレットを取り付ける主な目的は、誘導抗力を減らして飛行効率を高めることです。

飛行機が一定の速度で飛び続けるには、空気抵抗と釣り合うだけの推力をエンジンで発生させる必要があります。空気抵抗が大きければ、それだけ推力を増やさなければならず、燃料の消費量も増えるからです。

ウィングレットによって誘導抗力を減らせれば、同じ速度を維持するために必要な推力を抑えられます。そのため、同じ距離を少ない燃料で飛んだり、同じ燃料でより遠くまで飛んだりできる可能性があるのです。

研究段階では、特定の形状や試験条件において誘導抗力が約20%低減し、揚抗比が約6〜9%改善した例があります。ただし、これは飛行機全体の燃料消費が20%減るという意味ではありません。

実際の旅客機では、ウィングレット自体の重量、表面摩擦、飛行距離、機体重量、速度、高度なども影響します。このため、翼端装置単独による燃料消費の改善は、一般的には数%程度の公表例が中心です。

対象公表される効果の目安注意点
研究用ウィングレット誘導抗力を約20%低減した例全機の燃料消費率ではない
一般的な改修用ウィングレット区間燃料を約3〜6%改善する例機種や運航条件で変動
A320系シャークレット最大約4%の燃料削減例エンジンを含むneo全体の効果とは別
737 MAXのATウィングレット最大約2%の削減寄与MAX全体の世代差とは別

この表の数値は同じ機体、同じ飛行距離、同じ気象条件で比較したものではありません。あくまで一般的な目安として見てください。

また、ウィングレットの効果は常に一定ではありません。誘導抗力は、同じ重量なら速度が低く、揚力係数が高い状態ほど大きくなりやすいため、上昇中や重量の大きい巡航初期などでメリットが現れやすくなります。

反対に高速域では、ウィングレット自身の表面摩擦や形状による抵抗も無視できません。そのため、大きく高いウィングレットを付ければ必ず燃費が良くなる、という単純な話ではないんですね。

正確な性能や燃料削減率は機種、仕様、飛行条件によって変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

航続距離や上昇性能への効果

誘導抗力が減ると、燃費だけでなく、飛行機の運用全体にいくつかのメリットが生まれます。

分かりやすいのは航続距離です。同じ量の燃料を積んだ場合、飛行中に消費する燃料が少なくなれば、その分だけ遠くまで飛べる可能性があります。反対に、同じ距離を飛ぶ便なら、搭載する燃料を減らして機体を軽くする選択もできるわけです。

機体重量や空港の条件によっては、燃料を減らした分を旅客や貨物の搭載量に回せる場合もあります。航空会社にとっては、燃費だけでなく運航の自由度が広がる点も大きな魅力なのです。

誘導抗力の低減は、離陸後の上昇性能にも関係します。同じ推力なら余裕が生まれるため、上昇率が改善したり、高温・高地の空港で性能上の利益を得られたりすることも。

運航条件によっては、離陸時のエンジン推力を抑える設定を選べる場合もあります。推力を抑えられれば、エンジンへの負担や騒音を軽減できる可能性があります。ただし、翼端装置がエンジン音を直接消しているわけではありません。

翼端装置から期待できる主な効果
  • 燃料消費の削減
  • 航続距離の延長
  • 旅客や貨物の搭載余力の向上
  • 離陸や上昇性能の改善
  • 運航条件によっては騒音やエンジン負担の軽減

飛行機の離陸性能は、翼端装置だけで決まるものではありません。機体重量、風向と風速、滑走路の長さ、気温、標高、エンジン性能など、多くの条件が関係します。

離陸時の速度と条件の関係については、飛行機の離陸速度と離陸距離の仕組みでも詳しく解説しています。

なお、ウィングレットがあるから機体が必ず安定する、という説明は正確ではありません。翼端装置は横方向の空気力やロール、ヨー、突風への反応にも影響するため、設計段階で操縦性、安定性、強度、振動などを含めて評価されます。

安定性の向上が一般的な第一目的なのではなく、主目的はあくまで誘導抗力の低減です。

ウィングレットのデメリット

燃費に役立つウィングレットですが、付ければ無条件で得になるわけではありません。空力的なメリットと引き換えに、重量や構造荷重、費用などのデメリットも発生します。

まず、装置そのものの重量が増えます。さらに、翼端に部品を追加すると主翼の付け根にかかる曲げモーメントが大きくなるため、機種によっては主翼内部の構造補強が必要です。

既存機へ後付けする場合は、ウィングレットを取り付けるだけでは済まないことがあります。主翼の補強、電気配線や灯火類の変更、空力バランスの確認、認証作業などが必要になるからです。

表面積が増えることによる摩擦抗力もデメリットです。誘導抗力を減らせても、装置自体の摩擦抗力や干渉抗力が増えすぎれば、期待したほどの利益が得られません。

ウィングレットの主なデメリット
  • 装置と構造補強による重量増加
  • 翼の付け根にかかる荷重の増加
  • 表面摩擦や形状による抵抗の増加
  • 製造費や改修費の増加
  • 接合部や表面が点検対象になる
  • 機種によっては地上クリアランスへの配慮が必要

改修費を回収できるかどうかは、その飛行機が今後どれくらい運航されるのか、どの程度の距離を飛ぶのか、燃料価格がどう推移するのかなどによって変わります。

短距離便が中心の機体では、巡航時間が短いため、長距離便ほど大きな燃料削減効果を得られない可能性もあります。すでに高効率な翼を持つ機体では、追加装置の利益が小さい場合もあるでしょう。

固定式ウィングレットには、通常、巡航中に角度を動かす機能はありません。飛行条件ごとに角度を変えるのではなく、想定される運航範囲の中で総合的に効果が高くなるよう設計されています。

機体の改修や運航上の判断には、空力、構造、整備、認証に関する専門的な検討が必要です。最終的な判断は専門家にご相談ください

飛行機の翼の先が曲がってる~種類~

翼端装置には、上向きのウィングレット以外にもさまざまな形が。主翼から滑らかに立ち上がるタイプ、上下へ分かれるタイプ、翼端を後方へ延長するタイプなど、それぞれの機体に合わせて設計されています。

飛行機に使われる4種類の翼端装置と形状の比較
飛行機に使われる4種類の翼端装置と形状の比較:ボクのヒコーキ・イメージ画像

ここからは、シャークレット、二股型、レイクドウィングチップを取り上げながら、代表的な旅客機の翼端がどのように違うのかを見ていきましょう。

  • シャークレットとの違い
  • 上下に分かれた二股型の特徴
  • レイクドウィングチップとは
  • 787の翼が曲がって見える理由
  • 777Xの翼端を折り畳む目的
  • 飛行機の翼の先が曲がってる理由~まとめ~

シャークレットとの違い

シャークレットは、主にエアバスが大型の翼端装置に使用している名称です。サメの背びれを思わせる外観から、この名前が付けられています。

ウィングレットとシャークレットが、まったく別の物理原理で働くわけではありません。どちらも翼端付近の空気の流れや揚力分布を改善し、誘導抗力を減らすことが主な目的です。

つまり、シャークレットは一般分類ではウィングレットの一種と考えると分かりやすいかなと思います。ウィングレットが一般的な装置名で、シャークレットはエアバス側の名称という関係です。

ジェットスター・ジャパンが受領するA320のシャークレット装備機
ジェットスター・ジャパンが受領するA320のシャークレット装備機:Aviation Wireより引用

A320ファミリーでは、機体によって翼端形状が大きく異なります。旧来のA320系でよく見られるのが、翼端の上側と下側へ小さな面を伸ばしたウィングチップフェンスです。

A320のウィングチップフェンス
A320のウィングチップフェンス:Redditより引用

一方、後に採用が広がったシャークレットは、主翼の先から斜め上へ大きく立ち上がっています。A320neoファミリーではシャークレットが標準的な装備になっているため、外観から世代や仕様を見分ける手掛かりにもなります。

名称外観代表的な機体
ウィングチップフェンス翼端の上下に小さな面が伸びる初期のA320ファミリーなど
シャークレット翼端から大きく斜め上へ伸びるA320neo、A330neoなど
ブレンデッドウィングレット主翼と滑らかな曲線でつながる737NG、757、767など

シャークレットを旧型機へ後付けできる場合もありますが、装置だけを交換すれば終わるとは限りません。翼に加わる荷重が変わるため、主翼構造の補強が必要になることがあります。

また、A320neo全体で公表される燃費改善には、新型エンジンやナセル、機体システムなどの効果も含まれます。シャークレット単独の効果と、機体全体の世代差を混同しないことが大切です。

上下に分かれた二股型の特徴

飛行機の翼の先が上と下に二股になっている場合は、複数の空力面を組み合わせた翼端装置である可能性が高いです。

代表例の一つが、ボーイング737NGの一部に後付けされているスプリット・シミタール・ウィングレットです。上向きのウィングレットに加えて、翼端の下側へ伸びるブレードを組み合わせています。

フライドバイの737-800に装着されたスプリット・シミタール・ウィングレット
スプリット・シミタール・ウィングレット:FlyTeamより引用

もう一つの代表例が、737 MAXのATウィングレットです。ATはAdvanced Technologyの略で、翼端から上側と下側へそれぞれ空力面が伸びています。

上向きと下向きの面を組み合わせることで、翼端付近の複雑な流れから効率よく空気力を取り出し、より有利な揚力分布を目指します。

ボーイング737 MAXの新型ウイングレット
737 MAXのATウィングレット:Aviation Wireより引用

下向きの部分を見ると、空気を地面へ押し付けるための部品のようにも見えますが、そのような単純な役割ではありません。局所的な空気の流れに対して適切な向きで力を発生させ、翼全体の誘導効率を改善するための翼面です。

二股型の見分け方

737NGのスプリット・シミタールは、大きな上向きウィングレットの下にブレードを追加したように見えます。737 MAXのATウィングレットは、主翼端から上下へ一体的に分岐するような外観が特徴です。

下向きの翼面には、地面や設備との間隔という制約があります。大きく下へ伸ばしすぎると、離着陸時の機体姿勢や地上作業で問題になる可能性があるため、地上クリアランスも含めて設計されなければなりません。

上下の翼面を増やすと、部品数や表面積、重量、整備対象も増えます。そのため、単純に面を増やすほど良いわけではないのです。

737 MAXのATウィングレットについては、燃料消費と二酸化炭素排出量の削減に最大約2%寄与すると公表される例があります。ただし、運航条件によって効果は異なり、737 MAX全体の燃費改善率を示す数値とは言えません。

レイクドウィングチップとは

レイクドウィングチップは、翼端を垂直に立ち上げるのではなく、水平面に近い方向へ細長く延ばしながら、後方へ大きく後退させた形状です。

横から見ると翼の先が後ろへ曲がっているように見え、上から見ると鋭く伸びた形をしています。ボーイング787や、777-300ER、777-200LRなどの一部の777が代表例です。

ボーイング787のレイクドウイングチップ
ボーイング787のレイクドウイングチップ:時事通信より引用

レイクドウィングチップは、主翼を外側へ伸ばすことで実際の翼幅を広げ、アスペクト比を高めます。アスペクト比とは、翼がどれくらい細長いかを示す考え方です。

同じ翼面積であれば、翼幅が長く細い翼ほど誘導抗力を減らしやすくなります。レイクドウィングチップは、水平翼幅を直接増やしながら、翼端付近の揚力分布も最適化する設計です。

垂直型のウィングレットより、空力的、構造的に有利な選択となる場合があります。一方で、実際の翼幅が長くなるため、空港のゲート、誘導路、格納庫などへの適合性が問題になることも。

レイクドウィングチップの特徴
  • 翼端が垂直ではなく後方へ細長く伸びる
  • 実際の翼幅とアスペクト比を増やす
  • 揚力分布を整えて誘導抗力を減らす
  • 空港施設の翼幅制限を受けやすい

ウィングレットの付いていない飛行機が、効率の悪い設計というわけではありません。長い主翼、翼のねじり、テーパー形状、複合材を使った軽量構造、レイクドウィングチップなど、別の方法でも誘導抗力は減らせます。

重要なのはウィングレットの有無ではなく、機体全体として翼が最適化されているかどうかです。

空港で飛行機を見るときは、翼の先が上に立っているかだけでなく、水平に近いまま後ろへ伸びているかにも注目してみてください。機種ごとの設計思想が見えて、飛行機を見る楽しさが増えるでしょう。

787の翼が曲がって見える理由

ボーイング787の翼が曲がって見える理由は、一つではありません。大きく分けると、レイクドウィングチップの形状と、飛行中に主翼全体が上へしなることが組み合わさっています。

787の翼端は、垂直に立つ一般的なウィングレットではなく、後方へ伸びるレイクドウィングチップです。そのため地上で見ても、翼の先が後ろへ曲がっているように感じられます。

さらに飛行中は、主翼に大きな揚力が働くため、翼全体が上方向へしなります。特に787は複合材を多く使った細長い主翼を採用しており、その柔軟なしなりが外からも分かりやすい機体です。

翼が大きくしなっていると、壊れそうで怖いと感じるかもしれません。分かります。ただ、飛行中にある程度しなることは設計上想定された挙動です。

主翼がまったく変形しないほど硬い構造にすると、重量が増えたり、突風や荷重による力が一部へ集中しやすくなったりします。適切なしなりを許容することで、荷重を受け流す役割も期待できるのです。

翼端形状と主翼のしなりは別の現象です

レイクドウィングチップは、地上でも確認できる固定された翼端形状です。一方、主翼全体の反り上がり方は、燃料搭載量、機体重量、速度、揚力、突風などによって変化します。

駐機中の787では、主翼に飛行中ほどの揚力がかかっていません。そのため、翼端が比較的低い位置に見えます。離陸して揚力が増えると主翼が上へしなり、翼の先端が大きく持ち上がったように見えます。

この見た目から、787にも上向きのウィングレットが付いていると思われることがありますが、基本的にはレイクドウィングチップと主翼のしなりによるものです。

なお、翼の変形量や構造上の限界は機体ごとに定められ、設計、試験、認証、整備を通じて管理されます。乗客が見た目だけで安全性を判断できるものではありません。異常が疑われる場合の最終的な判断は、航空会社や整備士などの専門家が行います。

777Xの翼端を折り畳む目的

ボーイング777Xには、地上で翼の先端を上へ折り畳めるフォールディング・ウィングチップが採用されています。

この翼端が折れ曲がっている姿を見ると、巨大なウィングレットのように感じるかもしれません。しかし、地上で折り畳まれている部分は、飛行時には水平に展開され、主翼の一部として揚力を発生させます。

折り畳む主な目的は、飛行中の空力効率と、地上での空港適合性を両立させることです。

777Xは、飛行中には約72メートル級の長い翼幅を使い、高いアスペクト比によって誘導抗力を減らします。しかし、この長い翼幅のままでは、既存空港のゲートや誘導路で扱いにくくなる場合があります。

そこで、地上では左右の翼端部分を上へ折り畳み、既存の777に近い占有幅へ収める仕組みが採用されました。翼を長くしたいけれど、空港設備をすべて作り直すのは難しい。そんな制約への解決策です。

777Xの折り畳み式ウィングチップ
777Xの折り畳み式ウィングチップ:Redditより引用

777Xの翼端は飛行中に動かしません

巡航中に角度を調整して燃費を変える装置ではなく、離陸前に展開して所定位置へ固定し、着陸後に地上運用のため折り畳む構造です。

可動式にすると、固定翼端にはない仕組みが必要です。ヒンジ、作動装置、ロック機構、位置検出、操縦席への表示などが追加されます。

飛行前には翼端が正しく展開され、ロックされていることを確認できなければなりません。整備でも、可動部分やロック機構を継続的に管理する必要があります。

つまり、折り畳み翼端には重量や構造の複雑さというデメリットがあります。それでも、長い主翼による飛行効率と、既存空港での運用性を両立する価値があると判断された設計なんですね。

飛行機の翼の先が曲がっているといっても、777Xの駐機中の姿は、一般的なウィングレットとは目的も使い方も異なるのです。

飛行機の翼の先が曲がってる理由~まとめ~

飛行機の翼の先が曲がってるように見える主な理由は、翼端付近の空気の流れと揚力分布を改善し、誘導抗力を減らすためです。

上向きの小さな翼面は一般にウィングレットと呼ばれますが、翼端装置にはさまざまな種類があります。エアバスのシャークレット、上下に伸びるウィングチップフェンス、737 MAXのATウィングレット、787のレイクドウィングチップなど、機種によって形状も名称も違います。

ウィングレットは、翼端渦を完全に消す仕切り板ではありません。それ自体が小さな翼として空気力を発生させ、翼端の流れや荷重分布を整えることで、限られた翼幅でも長い翼に近い効果を生み出します。

その結果、燃料消費、航続距離、搭載量、離陸や上昇性能の改善につながる可能性があるのです。ただし、実際の燃料削減率は一般に数%程度の公表例が多く、機種や運航条件によって変化します。

一方で、ウィングレットには重量増加、翼への荷重、摩擦抗力、製造費、改修費、整備対象の増加といったデメリットもあります。このため、すべての飛行機に同じ形を付ければよいわけではありません。

この記事の要点
  • 翼の先が上向きならウィングレットの可能性が高い
  • 主目的は翼端の流れを整えて誘導抗力を減らすこと
  • 翼端渦は弱められても完全にはなくならない
  • 燃費改善効果は機種や飛行条件によって異なる
  • 787はレイクド翼端と主翼のしなりで曲がって見える
  • 777Xの折り畳み翼端は空港施設への適合が目的

次に飛行機を見る機会があったら、翼端が上向きなのか、上下に分かれているのか、それとも後方へ細長く伸びているのかを観察してみてください。形の違いから、機種や設計の考え方が少しずつ見えてくるでしょう。

なお、性能数値や機体仕様は、改修、運航条件、メーカーの発表時期などによって異なる場合があります。正確な情報は公式サイトでのご確認をお願いします。機体の安全性、整備、改修などに関する最終的な判断は専門家にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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