飛行機の離陸時における速度と離陸距離の関係をわかりやすく解説

夕日を背景に離陸する旅客機を見上げるギャラリー

飛行機が離陸する時の速度がどれくらいなのか、気になって調べる方は少なくありません。離陸は、エンジンの推力で加速し、揚力が機体の重量を上回った瞬間に浮き上がるという仕組みで成り立っています。

しかし実際には、パイロットが離陸継続を判断する「V1速度」や、乗客が体感する加速度(G)、さらに機体の重量や気象条件によって変わる離陸滑走距離など、複数の要素が複雑に関わっているのです。

また、着陸時の速度や航空業界で使われる「ノット」という単位の意味を知ることで、旅客機の速度感覚がより具体的に理解できます。

戦闘機との離陸速度の違いを比較すると、民間機の特性も見えてきます。さらに「風速何キロ以上だと離陸できないのか?」といった気象条件の疑問や、航空安全で語られる「魔の11分」の意味を知ることも、離陸速度を理解する上で重要なポイントです。

ボーイング777やボーイング787といった代表的な機種ごとの離陸速度の目安を知りたいというニーズも多いため、本記事では具体的な数値とその変動理由まで、わかりやすく整理して解説します。

この記事を読んでわかること
  • 飛行機 離陸 時 速度の目安と変動理由がわかる
  • V1・VR・V2など離陸速度の意味が整理できる
  • 風や重量が離陸距離や安全判断に与える影響がつかめる
  • 777・787・戦闘機など機種別の速度感を比較できる
スポンサーリンク
目次

飛行機の離陸時における速度の基本知識

右から左へ滑走路を疾走する旅客機
ボクのヒコーキ・イメージ
  • 離陸の仕組みと揚力の関係
  • 離陸速度とV1の意味と役割
  • 離陸時のGと体感の目安
  • 離陸距離の目安と影響要因
  • 飛行機の魔の11分とは?事故が多い理由

離陸の仕組みと揚力の関係

飛行機が離陸できるのは、エンジン(ジェットなら噴射、プロペラなら回転で空気を後ろへ押す力)によって前進し、速度が上がるほど翼に流れる空気が増えて揚力が大きくなるためです。揚力が機体重量を上回る状態を作れれば、地面を離れます。

ただし、離陸は「一定の速度になったら勝手に浮く」という単純な話でもありません。速度が増えると揚力だけでなく抗力(空気抵抗)も増え、推力・抗力・揚力・重量の釣り合いが常に変化します。

離陸が成立するのは、単に速いからではなく、翼が揚力を生みやすい状態(迎え角、フラップ設定、機体姿勢)を作りつつ、安全に加速できる条件(滑走路長、路面状態、風、気温など)を満たしたときです。

揚力のイメージは、一般に次の関係式で説明されます。揚力は、空気密度、速度の二乗、翼面積、そして翼の形や迎え角に由来する揚力係数に比例します。

ここで重要なのは「速度が二乗で効く」点です。速度が少し上がるだけでも揚力は大きく増えますが、同時に抗力も増えるため、必要な推力と滑走距離も伸びやすくなります。

また、離陸時にはフラップを下げて翼の揚力係数を増やし、より低い速度でも揚力を得やすくします。ただし抗力も同時に増えるため、フラップ角は「できるだけ低速で離陸したい」要望と「加速を妨げたくない」現実との折り合いで決定されるのです。

さらに、滑走路が短い場合や高温で空気が薄い状況、あるいは機体が重いといった厳しい条件下では、同じ機体であっても必要な離陸速度や離陳距離が大きく変わってきます。

読者が混乱しやすいポイントとして、離陸時の速度には「対気速度」と「対地速度」の2種類があることも押さえておくとよいでしょう。翼が揚力を生み出すのは空気に対する速度(対気速度)であり、地上から見える速さ(対地速度)は風の影響を強く受けます。

向かい風が強い状況では、必要な対気速度を維持していても対地速度は低く見えるため、地上からの目視と計器の数字にズレが生じることがあるのです。

離陸でよく出る速度用語の全体像

ラブラドールの先生と小学生
ボクのヒコーキ・イメージ

離陸時の流れは概ね次のように整理できます。

  • 加速しながら離陸の中止可否を判断する速度域を通過する
  • 機首上げを行う速度で姿勢を作る
  • 離陸後に安全に上昇できる速度を維持する

この一連の速度は、機種・重量・フラップ設定・気温・風・滑走路条件によって変わります。したがって、同じ路線でも、毎回まったく同じ速度になるとは限りません。

ここで出てくる代表的なVスピードは、旅客機の離陸を安全に進めるための「段取りの目印」です。よく語られるのはV1、VR、V2で、簡単に言えば「判断」「機首上げ」「上昇の安全余裕」をそれぞれ担います。

これらは離陸のたびに性能計算で決まり、機体側(フライトマネジメント関連の機能)と運航側(重量・滑走路・気象・出力設定など)が整合するように設定されます。

速度用語が多く感じられるのは、それぞれの速度が「別の危険」を回避するためです。例えば、早すぎる機首上げは失速余裕を減らし、遅すぎる機首上げは滑走路端で十分な高度を確保できないリスクにつながります。そこで、VRを基準に適切な迎え角を作り、離陸後はV2以上を維持して安全な上昇性能を確保します。

理解を助けるために、よく出るVスピードの役割だけを整理すると次の通りです。

速度役割の要点変動しやすい主因
V1離陸中止か継続かの判断境界滑走路長、重量、路面状態、風
VR機首上げを開始する目安重量、フラップ、重心、性能計算
V2離陸後に安全に上昇できる最低速度の目安重量、推力設定、気温・高度

なお、これらの速度や離陸に必要な計算は「毎回行う」ことが基本であり、当日の条件に合わせて算出する必要があるとされています(出典:Airplane Flying Handbook | Federal Aviation Administration)。

離陸速度とV1の意味と役割

落ち着いた表情で旅客機を操縦するレトリバーのパイロット
ボクのヒコーキ・イメージ

V1は、離陸滑走中にトラブルが起きた場合に「離陸を中止して停止できるか」「離陸を継続して空中で対処するか」を分ける境目として扱われる速度です。一般に、V1より前なら中止(滑走路内で停止)を選びやすく、V1を超えたら継続する判断へ移る運用が基本になります。

ただし、V1は固定値ではありません。離陸前に性能計算で決まり、条件で変動します。特に影響が大きいのは次の要素です。

  • 機体重量(燃料・旅客・貨物が多いほど速度が上がりやすい)
  • 滑走路の長さと状態(濡れ、雪、制動性能など)
  • 気温・気圧・空港標高(空気が薄いほど必要な対気速度を得にくい)
  • 風(向かい風は対地速度を抑えやすく、追い風は不利)

V1が「運航上の意思決定」に直結する理由は、離陸滑走が高速域に入ると、停止に必要な距離が急激に増えるためです。例えば、同じ制動力でも速度が高いほど運動エネルギーが増え、停止に必要な距離や時間が伸びます。

さらに高速度域ではタイヤやブレーキの熱負荷も大きくなり、停止操作そのものが機体に与える負担も増すでしょう。だからこそ、V1は「どこまでなら止まれるか」「どこからは飛んだほうが安全か」を分ける境界として設計されているのです。

また、V1は単に速度だけで決まるのではなく、滑走路の使える長さ(TORA/ASDAなど運用上の距離概念)、路面状態、気象、推力設定、機体の加速特性などを含めて総合的に定められます。つまり、V1の数字を見るときは「この便、この条件での最適解」という視点が欠かせません。

V1の前後でパイロットの考え方が変わる理由

V1を超えると、残り滑走路が短くなって停止に必要な距離を確保しにくくなります。そこで、V1以降は推力を維持してVRへ向かい、機首上げ後はV2(安全離陸速度)を確保しながら上昇していく流れになります。

この切り替えが明確なのは、離陸滑走が「加速して止まる(accelerate-stop)」局面から、「加速して飛ぶ(accelerate-go)」局面へ移るためです。V1を境に、前者はブレーキや逆噴射などで滑走路内に収める発想が中心になりますが、後者は飛行機としての上昇性能を確保し、障害物や地形に対して余裕を作る発想が中心になります。

V1以降に求められるのは、速度管理と姿勢管理の一貫性です。たとえば、VRで機首上げを始めても、急にピッチを上げすぎると速度が落ち、失速余裕を削る方向に働きます。

逆に、機首上げが弱すぎると浮き上がりが遅れ、滑走路端で必要高度に届きにくくなるのです。そこで、VRからV2へ自然につながるように機首上げを行い、離陸後はV2以上を維持して上昇を安定させる必要があります。

読者が気になりやすい点として、「V1を超えたら何があっても絶対に離陸するのか」という疑問があります。

実務では機種・会社手順・故障内容によって判断枠組みがありますが、一般論としては、V1以降の高速度域での離陸中止は滑走路逸脱(オーバーラン)などの別リスクを増やすため、継続が原則になりやすい、という整理が理解の近道です。だからこそ、離陸前に速度を計算し、コールアウトで相互確認し、想定外を減らす運用が徹底されます。

V1は「止める・飛ぶ」の最終判断点であり、速度そのものよりも、運航上の意思決定に直結する指標として理解すると整理しやすいです。

離陸時のGと体感の目安

背中がシートに押し付けられて驚く旅客機の乗客たち
ボクのヒコーキ・イメージ

離陸時に「背中がシートに押し付けられる」「一瞬ふわっとして体が重く感じる」などの体感が出るのは、加速による前後方向の加速度と、機首上げ・上昇開始で生じる上下方向の加速度が重なるためです。

一般的な旅客機の離陸では、前後方向はおおむね0.3G〜0.5G程度、上下方向は上昇に入る瞬間に1.2G〜1.3G程度と説明されることが多いです。戦闘機の高G機動(数G〜9G級)とは性質も強さも異なり、旅客機は乗り心地と安全余裕を重視して穏やかな範囲で運用されます。

同じ離陸でも「強く感じる日」があるのはなぜか

体感は単純な速度だけで決まりません。例えば次の条件で印象が変わります。

  • 推力設定(騒音対策や重量に応じた設定で加速の鋭さが変わる)
  • 機体重量(軽いと加速が良く、体感が強めに出やすい)
  • 風(向かい風だと対地速度の上がり方が変わり、見た目の速さと体感がずれる)
  • 滑走路条件(路面が荒い、継ぎ目が多いと振動が増えて強く感じる)

要するに、離陸時のGは一定の目安はあるものの、体感は複数要因の合成として変わると捉えるのが現実的です。

離陸距離の目安と影響要因

旅客機のコクピットから見える滑走路
ボクのヒコーキ・イメージ

離陸距離は、単に「浮き上がるまでの地上走行距離」だけを指す場合もあれば、「離陸して滑走路端上空の一定高度(例として35フィート程度)に達するまで」を含めて扱う場合もあります。一般向けの説明では、必要滑走路長の目安として語られることが多いです。

目安としては、プロペラ小型機で約1,000m前後、中型ジェット(B737・A320クラス)で約1,800〜2,200m程度、大型長距離機で3,000m級が話題に上がりやすいです。ただし、運航条件が変わると距離は大きく動きます。

離陸距離が伸びやすい代表的な条件

離陸距離を押し上げる要因は、加速に時間がかかる条件、または揚力・推力が出にくい条件です。

  • 重い(燃料・貨物が多い)
  • 高温(空気密度が下がり、揚力も推力も不利)
  • 標高が高い空港(気圧が低く空気が薄い)
  • 追い風(対気速度を稼ぐため対地距離が増えやすい)
  • 濡れた滑走路(加速・制動や安全余裕の考え方が変わる)

速度と距離の関係をつかむための整理表

速度と距離は別物ですが、イメージを掴むには、どの条件が両方に効くかを整理すると理解が早いです。

変動要因離陸速度への影響離陸距離への影響
機体重量上がりやすい伸びやすい
気温上昇・高高度上がりやすい伸びやすい
向かい風対地速度は下がりやすい短くなりやすい
追い風対地速度は上がりやすい伸びやすい
滑走路が濡れている速度は条件次第伸びやすい傾向

離陸距離は、飛行機の性能だけでなく当日の環境に左右されるため、単純な固定値として覚えるより、伸びる条件を理解しておくほうが実用的です。

飛行機の魔の11分とは?事故が多い理由

恐怖の表情を浮かべるレトリバーのパイロット
ボクのヒコーキ・イメージ

飛行機の魔の11分とは、離陸直後の数分と、着陸直前の数分を合わせた、事故が起こりやすいとされる時間帯の通称です。一般的には離陸後3分と着陸前8分を指す説明が広く知られています。

この時間帯がリスクになりやすい背景には、共通して「高度が低い」ことがあります。高度が低いと、異常が起きた際の対処に使える時間と空間が限られます。加えて、離陸・着陸はいずれも操作や監視項目が多く、周囲状況の変化も大きい局面です。

乗客側が知っておくと安心につながる点

魔の11分が強調されるのは不安を煽るためではなく、運航側が最も集中する時間帯であることを示す意味合いが大きいです。乗客としては次のように理解すると現実的です。

  • 離陸と着陸は手順と監視が最も密なフェーズ
  • 客室内のルール(シートベルト、テーブル、背もたれなど)は緊急時対応も見据えたもの
  • 速度や風などの要素が重なるため、安全余裕を確保する運用が徹底される

速度の話を安全面と結びつけると、なぜ細かなルールや制限があるのかが腑に落ちやすくなります。

飛行機の離陸時に速度を左右する条件

円グラフで説明するCA
ボクのヒコーキ・イメージ
  • 着陸速度:ノットの基本換算
  • 戦闘機の離陸速度と旅客機を比較
  • 飛行機は風速何キロから離陸できませんか?
  • ボーイング777の離陸速度は?
  • ボーイング787の離陸速度は?
  • 飛行機の離陸時における速度について総括

着陸速度:ノットの基本換算

航空の速度は主にノットで示されます。1ノットは1時間あたり1海里で、km/h換算では1ノット=約1.852km/hです。飛行機の速度表示や運航上の速度(Vスピードなど)もノットで語られやすいため、換算の感覚を持っておくと理解が進みます。

旅客機の着陸(進入)速度は、機種や重量、フラップ設定で変わりますが、おおむね130〜160ノット(約240〜300km/h)程度が一般的な目安とされています。着陸時は失速速度に対して安全余裕を持つため、単に「ゆっくり降りる」のではなく、必要な速度を維持しながら降下・減速・接地へ進むのです。

ノットとkm/hの目安表

頻出の速度域だけ、暗算しやすい形で整理します。

ノットkm/hの目安
130約241
140約259
150約278
160約296
170約315

離陸速度の説明でノットが出てきたときは、上の表の範囲に収まることが多いので、目安として活用できます。

戦闘機の離陸速度と旅客機を比較

駐機中の自衛隊戦闘機を見学する女子高生
ボクのヒコーキ・イメージ

戦闘機の離陸速度は、機体の重量や装備、離陸形態(基地か空母かなど)で変わりますが、数値帯だけを見ると旅客機と近い場合が。一般的なジェット戦闘機でも、離陸の瞬間はおおむね時速250〜300km/h(約130〜160ノット)程度が目安として挙げられることがあります。

ただし、同じ速度帯に見えても、意味合いは異なります。旅客機は乗客の快適性と燃費、騒音、運航手順に配慮しながら、決められた上昇プロファイルで加速していきます。一方で戦闘機は推力重量比が高く、離陸後の加速や上昇が非常に鋭い点が特徴です。

速度以外で差が出るポイント

戦闘機と旅客機の違いは、離陸速度そのものより、運用目的と機体設計にあります。

  • 推力の余裕(戦闘機は短時間で速度と高度を稼げる)
  • 機動性(高迎え角・高G運用を想定)
  • 離着陸設備(空母運用ではカタパルトなど特殊条件)
  • 乗り心地の優先度(旅客機は快適性の制約が大きい)

したがって、戦闘機の離陸速度が旅客機と同程度に見えることはあっても、離陸後の挙動や運用思想は別物だと理解すると混乱しにくいです。

飛行機は風速何キロから離陸できませんか?

両手で×を作るCA
ボクのヒコーキ・イメージ

この疑問は非常に多いのですが、ポイントは「風速そのもの」ではなく「風向きによる成分」です。向かい風は離陸を助けやすい一方、追い風や横風は離陸・着陸を難しくします。特に横風は、滑走中に機体が流されやすく、操縦や方向維持の負荷が高くなります。

まず押さえておきたいのは、風は常に一定ではなく、突風(ガスト)や風向の揺れを含むことが多い点です。空港で表示される風は「平均風」と「最大瞬間風速」に分けて示される場合があり、運航判断ではこの変動幅が無視できません。

たとえば、平均では基準内でも、ガストで一時的に横風成分が増えれば、離陸中の方向維持が難しくなり、滑走路逸脱のリスクが上がります。

また、横風の影響は「地上滑走中」と「浮揚直後」で性質が変わります。地上滑走中はタイヤのグリップと操舵(ノーズホイールやラダー)が効きますが、速度が上がるほど揚力が増え、タイヤにかかる荷重が軽くなっていくのです。

荷重が軽いと、同じ横風でもタイヤが踏ん張りにくくなり、方向維持が難しくなります。浮き上がった直後は、機体が風上へ流されないようドリフト修正が必要になり、操作量が増える傾向に。

こうした横風下の離陸で起こりうる影響は、操縦の基本原理として公的な訓練資料でも説明されています(出典:Airplane Flying Handbook (FAA-H-8083-3C) – Chapter 6)。

運航の制限値は機種・滑走路状態・航空会社の運用基準で変わります。一般論としては、横風成分が概ね30〜40ノット級になると制約が強まりやすく、追い風成分は10〜15ノット程度で制限されるケースが多いと説明されます。

これは「これ以上は絶対に無理」という単純な線引きではなく、安全余裕の取り方と当日の条件次第で判断が変わる領域です。メーカーの運用マニュアルや各社の基準に沿って、最終的に運航可否が決まります。

数字感をつかむために、ノットをkm/hに置き換えるとイメージしやすくなります。1ノットは約1.852km/hなので、横風成分30〜40ノットは約56〜74km/h、追い風成分10〜15ノットは約19〜28km/hに相当します。

ここで注意したいのは、ニュースや天気アプリで見る「風速◯m/s」や「◯km/h」は、必ずしも滑走路方向に対する横風・追い風成分そのものではない点です。同じ風速でも、風向が滑走路に対してどの角度から吹くかで、横風成分は大きく変わります。

横風成分の考え方は、次のように整理できます。

  • 風が滑走路に対して真横に近いほど、横風成分が大きくなります
  • 風が滑走路に対して正面に近いほど、向かい風成分が大きくなります
  • 風が滑走路に対して後ろから吹くほど、追い風成分が大きくなります

さらに実務的には、滑走路が濡れている、積雪・凍結しているなど「路面状態」が加わると判断は厳しくなります。理由はシンプルで、路面が滑りやすいほどタイヤのグリップが落ち、横風で流される力に対抗しにくくなるためです。視程不良や強い雨雪で視界が落ちると、中心線の保持も難しくなり、複合要因として運航可否に影響します。

風の見方で迷いやすい点として、「空港の風速は同じなのに、離陸できる便とできない便がある」ことがあります。これは、機種の特性(車輪配置、垂直尾翼の大きさ、操舵の効き方など)や、その便の重量、滑走路の使用方向、路面状態、会社ごとの安全余裕の取り方が違うために起こります。

つまり、風速だけで一律に判断されるものではなく、条件を積み上げて安全側に判断されるのが一般的です。 (flightdeckfriend.com)

風の種類別に見た影響の整理

読者が混同しやすい点を、成分の考え方で整理します。

風の向き離陸への影響判断が厳しくなりやすい理由向かい風有利になりやすい対気速度を得やすく距離が短くなりやすい追い風不利になりやすい対気速度を稼ぐため距離が伸びやすい横風難しくなりやすい方向維持や接地時の安定が難しくなる

風の向き離陸への影響判断が厳しくなりやすい理由
向かい風有利になりやすい対気速度を得やすく、必要対地距離が短くなりやすい
追い風不利になりやすい対気速度を稼ぐため、滑走距離が伸びやすい
横風難しくなりやすい方向維持が難しく、逸脱リスクが上がりやすい

風速の数値だけで覚えるよりも、向かい風・追い風・横風のどれが問題になりやすいのかを押さえるほうが、現実の運航判断に近い理解になります。特に、欠航や遅延が発生しやすいのは「横風が強い」または「追い風が強い」状況で、そこに雨雪などの路面悪化が重なるケースです。

逆に向かい風は離陸性能を助ける方向に働くため、強風でも必ずしも離陸できないとは限らず、最終的には横風・追い風成分と当日の複合条件で判断されます。

ボーイング777の離陸速度は?

飛行中の旅客機
ボーイング777:Mitsubishi Heavy Industriesより引用

ボーイング777の離陸速度は、重量や気温、フラップ設定、風などで変わるため一つの固定値では語れません。一般的な目安としては、ローテーション速度(VR)が約160〜180ノットの範囲で示されることが多く、条件が標準的な場合は145ノット前後になる例も紹介されています。 (flightdeckfriend.com)

速度のイメージをkm/hに寄せると、160ノットが約296km/h、180ノットが約333km/hなので、離陸の瞬間は概ね300~330 km/h前後という感覚がつかみやすいです。ここに向かい風が強いと対地速度は下がり、追い風だと上がります。同じ「ノット」でも地上から見た速さが変わる点は、意外と見落とされがちです。

777が速くなりやすいシーン

777は長距離運航も多く、燃料搭載が増えると重量が大きくなります。重量が増えるほど必要揚力が増えるため、V1・VR・V2が高めに設定されやすく、結果として離陸速度も上がりやすくなります。さらに高温・高高度の空港では空気密度が下がるため、速度も距離も不利側へ寄りやすいです。

要するに、777の離陸速度は「大型機だから速い」というより、重量と環境条件に応じて最適化される、と捉えると納得しやすいです。

ボーイング787の離陸速度は?

海の上空を飛行する旅客機
ボーイング787:Mitsubishi Heavy Industriesより引用

ボーイング787の離陸速度も、基本的な考え方は777と同じで、条件によって変動します。

旅客機一般のVスピード例として、V1が156ノット、VRが162ノット、V2が166ノットといった実運航の具体例が紹介されることもあり、787クラスでも離陸の主要速度が150ノット台〜160ノット台に位置するイメージは掴みやすいです。 (ファイナンシャル・タイムズ)

787は効率的なエンジンと空力設計が特徴ですが、離陸速度が極端に低いわけではありません。機体が重い長距離便では速度が上がり、軽い便や向かい風が強い条件では下がります。したがって、787の離陸は概ね260〜300km/h前後の範囲に収まることが多い、という理解が現実的です。

787の速度理解で混乱しやすい点

787については、離陸後しばらくしてから速度を上げていく運用(例えば一定高度までは速度制限がある空域が多い)もあり、離陸時の速度と上昇中の速度が混同されやすいです。離陸時はV2付近で安全上昇を優先し、その後に段階的に加速していく、と流れで覚えると整理できます。 (ファイナンシャル・タイムズ)

以上の点を踏まえると、787の離陸速度は単発の数字で覚えるより、V1・VR・V2という「段階の速度」と、重量・風・気温で変わる「条件依存」をセットで捉えることが鍵になります。

ボーイング787と777の離陸速度は、実際の数値はそれほど大きく違わず、どちらも「約300 km/h前後」の範囲に収まるというのがポイントです。

【777と787数値の違い】

  • B777(例:777-300ER)
    • 最大重量運用時:離陸速度(V2)は 約330 km/h 前後。
    • 重量が軽い運用では 約300 km/h 前後になることも。
  • B787(例:787-8)
    • 最大重量運用時:離陸速度は 約300 km/h 前後。
    • 国内線など重量が軽い運用では 約260 km/h 前後になることが多い。

つまり、同じ「最大重量」で比べると、777の方が若干速く(約330 km/h)、787はやや遅め(約300 km/h)というイメージです。

【なぜそんなに差がないのか】

  • 離陸速度は「重量」と「翼の面積」のバランスで決まり、777は重い代わりに大きな翼を持ち、787は軽い代わりに効率の良い翼を持っています。
  • そのため「重量が2倍違うのに、離陸速度は1割程度しか変わらない」という傾向があり、中・大型機同士では離陸速度の差は意外と小さいのです。

飛行機の離陸時における速度について総括

戦闘機のコクピットから親指を立てる女性パイロット
ボクのヒコーキ・イメージ

この記事のポイントをまとめます。

  • 飛行機の離陸時における速度は概ね240〜300km/h帯が多い傾向
  • 表示はノットが基本で1ノットは約1.852km/h
  • 離陸速度は機種より当日の重量で変わりやすい
  • 燃料や貨物が多いほど必要な離陸速度は上がりやすい
  • 高温や高高度の空港は空気が薄く速度が上がりやすい
  • 向かい風は対地速度を抑えやすく離陸に有利になりやすい
  • 追い風は対気速度を稼ぎにくく距離が伸びやすい
  • 横風は方向維持が難しく運航制限の要因になりやすい
  • V1は離陸中止か継続かの判断境界として運用される
  • VRは機首上げの開始速度で離陸姿勢を作る目安
  • V2は離陸後に安全上昇を続けるための基準速度
  • 離陸時のGは前後0.3G前後で体感は条件で変わる
  • 上昇開始では上下方向に1.2G前後を感じることがある
  • 離陸距離は重量や気温と風で大きく伸び縮みしやすい
  • 777はVRが160〜180ノット帯で変動幅が大きい傾向
  • 787も160〜170ノット台が目安で条件次第で上下する

最後までお読みいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次