「音速 時速 何キロ」と検索すると、まず「音速は時速何キロメートルなのか」という素朴な疑問が浮かんできます。さらに、温度による違いを踏まえた計算方法や、空気・水・金属など媒質ごとの音速一覧、秒速への換算や湿度の影響、そして音速を超える現象の考え方まで整理することで、理解が一気に深まるでしょう。
また、「マッハ1は秒速何mか」といった基礎的な疑問から、「亜音速と音速はどちらが速いのか」という用語の違い、「マッハ20で日本からハワイまで何分かかるのか」「時速28000キロはマッハいくつか」といった実践的な計算問題まで、つながりを持って理解できるようになります。
- 音速の基準値を時速と秒速でつかめる
- 気温や湿度で音速が変わる理由がわかる
- マッハ数の考え方と換算手順を整理できる
- 超音速・亜音速など速度帯の違いを理解できる
音速は時速何キロ?基準と目安

- 音速は時速何キロメートルですか?
- 音速の単位をm/sとkm/hで整理
- 求め方は気温式と距離÷時間
- 一覧で見る媒質別の音速
- 秒速、湿度で変わる音速の違い
- マッハ1は秒速何mですか?
音速は時速何キロメートルですか?
一般に「音速」と言うと、空気中での音の速さを指します。標準的な目安としてよく使われるのが、気温15℃・1気圧付近の空気中で秒速約340mという値です。これを時速に直すと、約1225km/h前後になります。
ここで押さえたいのは、音速が「だいたい1225km/h」と覚えられる一方で、これは特定条件(乾燥空気に近い状態・15℃付近)での代表値にすぎない点です。空気は温度によって分子の運動が変わり、音の伝わり方(圧力の波が伝播する速さ)も変わるため、同じ「空気中」でも条件次第で数%の差が出ます。
たとえば気温が0℃付近なら音速は秒速331m前後まで下がり、時速にすると約1190km/h程度になります。反対に気温が20℃付近なら秒速343m前後、時速では約1235km/h程度まで上がります。日常会話や学習用途で「音速=約1225km/h」と言い切っても支障が少ないのは、気温が大きく外れない限り、音速の変化が緩やかだからです。
ただし、音速は固定値ではありません。空気の温度が変われば、音速も変わります。日常の説明では「音速=約1225km/h」と覚えて問題ない場面が多い一方、厳密な計算が必要なときは「その場の気温に応じた音速」を使うのが基本です。
特に、マッハ数の換算や、到達時間の見積もり、実験・測定の誤差評価では、温度を入れて音速を計算するほうが安全です。公的機関の説明でも、音速は主に気温で決まるという整理が一般的で、温度を入力して音速を算出できる計算ページも公開されています(出典:米国海洋大気庁 NOAA「Speed of Sound Calculator」 https://www.weather.gov/epz/wxcalc_speedofsound )。
読者が知りたいのは「今この条件なら何キロか」というケースも多いはずです。その場合は、後述する気温からの近似式を使うと、実用上十分な精度で見積もれます。要するに、音速は時速約1225kmが代表値であり、気温が変われば数%程度は前後します。
補足として、音速は空気中でも「湿度」や「気体の組成(乾燥空気か、二酸化炭素が多いか等)」でわずかに変わることがあります。ただし、一般的な生活環境の範囲では、温度による影響が最も支配的で、まずは気温に着目して見積もるのが分かりやすい考え方です。
音速の単位をm/sとkm/hで整理

音速の表し方で最もよく出るのは、m/s(メートル毎秒)とkm/h(キロメートル毎時)です。理科や物理ではm/sが標準的で、航空や日常会話ではkm/hが直感的です。
m/sが好まれる理由は、式に入れたときに単位が整いやすいからです。たとえば「距離(m)÷時間(s)=速さ(m/s)」の形でそのまま計算でき、途中で換算が不要になります。一方、km/hは「車の速度」などの感覚に近いので、数字のスケール感をつかむ用途に向きます。
単位換算は次の関係で整理できます。
1m/s = 3.6km/h なので、秒速340mは時速にすると 340×3.6=1224km/h になります(四捨五入の仕方で1225km/hと表記されることが多いです)。
この「×3.6」は、1時間=3600秒、1km=1000mを使うと自然に導けます。
- m/s → km/h:m/s × 3.6
- km/h → m/s:km/h ÷ 3.6
また、航空分野でよく見かけるのが「マッハ」です。マッハは速度の単位というより、その場の音速に対して何倍かを示す比なので、同じマッハでも実速度(m/sやkm/h)が一定ではありません。逆に言えば、温度や高度で音速が変わる環境でも、速度の「音速に対する相対的な大きさ」を直感的に表せるのがマッハ表記の利点です。
数値のイメージを掴みやすいように、代表的な換算を表にまとめます。
| 表現 | 代表値(空気中15℃付近) | 補足 |
|---|---|---|
| 秒速(m/s) | 約340m/s | 物理・計算で使いやすい |
| 時速(km/h) | 約1225km/h | 日常の速度感に近い |
| マッハ | マッハ1 | その場の音速との比 |
なお、マッハは単位というより「比(無次元数)」です。つまり、同じマッハ1でも気温や高度でm/sやkm/hの実速度が変わります。ここを押さえると、ニュースや航空の説明が読みやすくなります。
さらに実務的には、速度の混在表記(m/s・km/h・ノット・マッハ)が起きやすいので、「まずm/sで揃えて計算し、最後にkm/hへ換算する」という手順にするとミスが減ります。特に、到達時間の計算(距離÷速度)では単位の統一が結果の正確さに直結するでしょう。
求め方は気温式と距離÷時間

音速の求め方は、大きく分けて「測って求める方法」と「近似式で計算する方法」の2つです。どちらが良いかは目的次第で、学校レベルの理解なら両方を押さえると、計算問題にも実生活の疑問にも対応しやすくなります。
距離÷時間で求める(実測の考え方)
もっとも基本とされるのは、速さの公式です。
音速(m/s)=距離(m)÷時間(s)
雷を見てから音が届くまでの時間を測る、スピーカーとマイクの距離と到達時間を測る、などの方法はこの考え方です。測定精度は機材や環境に左右されますが、理屈は単純で再現しやすいのが特徴です。
実測で精度を上げたい場合は、次の点が誤差に効いてきます。
- 時間計測の遅れ:人の反応時間やストップウォッチの分解能
- 距離の誤差:距離の測り方(直線距離か、経路が曲がるか)
- 反射・回折:壁や地面で音が反射して到達時刻が曖昧になる
- 風:追い風・向かい風で到達が早まったり遅れたりする
身近な例で言うと、「遠くの花火が見えてからドンと聞こえるまでの時間」を数えると、距離のおおよその推定に使えます。これは光が音より圧倒的に速く届くため、視認時刻をほぼ基準にできるからです。もちろん、花火の高度や風などで誤差は出ますが、音速のスケール感を掴むには十分役立ちます。
気温から近似する(実用的な計算)
空気中の音速は気温に応じて変化するため、近似式がよく使われます。代表的なのが次の形です。
音速v(m/s)=331.5+0.6×気温(℃)
たとえば15℃なら、331.5+0.6×15=340.5m/sとなり、代表値の「約340m/s」と整合します。気温が1℃下がると音速はおよそ0.6m/s遅くなるので、寒いほど音がゆっくり伝わるというイメージです。
この近似式は、空気を理想気体に近いものとして扱い、音速が温度に強く依存する性質を、扱いやすい形にまとめたものです。気温の変化を入れるだけで概算ができるため、次のような用途に向きます。
- その日の気温で、音速(時速・秒速)をざっくり知りたい
- マッハの換算で、基準音速を現実に近づけたい
- 実験結果の妥当性を、温度から見積もって確認したい
さらに、音速を時速で欲しい場合は、計算したm/sに3.6を掛ければOKです。たとえば0℃なら331.5m/s前後なので、時速では約1193km/h程度になります。こうした換算の流れを一度身につけると、「時速何キロ?」という疑問から「どの条件で?」まで自然に整理できます。
以上の点を踏まえると、ざっくり把握なら代表値、条件を入れて見積もるなら気温式、実験なら距離÷時間という使い分けが見えてきます。目的に合わせて手段を切り替えられるようになると、音速が単なる数字ではなく、感覚的に理解できるでしょう。
一覧で見る媒質別の音速

音速は「空気中の音速」だけではありません。媒質が変わると、音の伝わり方も変わり、速度も大きく変化します。一般には、気体より液体、液体より固体のほうが速くなります。これは、固体ほど弾性が大きく、分子の振動が次へ伝わりやすいためです。
この「弾性が大きいほど速い」という性質は、もう少しだけ噛み砕くと理解が楽になります。音は、空気や水や金属といった媒質の中を、圧力や密度のわずかな変化(圧縮と膨張)が波として伝わる現象です。
波の速さは、ざっくり言えば「押したときにどれだけ強く押し返すか(硬さ・弾性)」と「押されたときにどれだけ動きにくいか(密度)」のバランスで決まります。硬くて密度がそこまで高くないほど、振動が次々に伝わりやすく、音速は大きくなりやすいと考えるとイメージしやすいです。
また、固体の音速は一枚岩ではありません。固体では、縦方向の圧縮が伝わる縦波(縦波音速)だけでなく、横方向にずれる横波(せん断波)も伝わります。日常の「材料の音速」として示されるのは、測定や工学用途で使われやすい縦波音速であることが多い点も、混乱を避けるポイントです。
代表的な媒質の目安を一覧にすると、次のようになります(温度や材質で変動します)。
| 媒質(代表条件) | 音速の目安(m/s) | 時速換算の目安(km/h) |
|---|---|---|
| 空気(15℃) | 約340 | 約1225 |
| 水(20℃) | 約1480〜1500 | 約5328〜5400 |
| 海水(目安) | 約1500前後 | 約5400前後 |
| 鉄・鋼鉄(縦波) | 約5900〜6000 | 約21240〜21600 |
| アルミニウム(縦波) | 約5200前後 | 約18720前後 |
| ガラス(縦波) | 約5700前後 | 約20520前後 |
空気中の数百m/sと比べると、固体では数千m/sになるため、同じ「音」でも伝わり方が別物に感じるほどです。たとえば鉄道レールを伝って遠くの振動が先に伝わる、という現象はこの違いと結びつきます。
ここで「なぜ水は空気よりそんなに速いのか?」と疑問に感じるかもしれません。水は空気より密度が大きい一方、圧縮されにくく(体積弾性率が大きく)、押し返す力が強いので、結果として音速が大きくなります。固体はさらに圧縮されにくく、形もずれにくい(弾性が非常に大きい)ため、音速が一段と大きくなります。
なお、一覧の数値は「代表値」なので、厳密な用途では材料データシートや規格表、温度条件込みのデータを参照するのが安全です。特に金属やガラスは組成や加工状態で差が出ますし、水や海水も温度・塩分・圧力で変化します。「何に使う値か(概算か、測定補正か)」を先に決めると、必要な精度が見えてきます。
秒速、湿度で変わる音速の違い

音速を「時速何キロ」として理解するうえで、もう一段だけ踏み込むなら、温度だけでなく湿度も影響する点を知っておくと安心です。
空気中の音速は、気温の影響が最も大きい一方で、湿度でもわずかに変化します。湿度が高いほど音速が少し速くなる、と整理されることが多いです。理由は、湿った空気には水蒸気が増え、平均的な分子量が下がって密度がわずかに小さくなるためです。
ここで誤解しやすいのが「湿度が高い=空気が重い=音が遅そう」という直感です。実際には、同じ温度・同じ圧力で比べた場合、水蒸気(分子量18)が窒素(28)や酸素(32)より軽いため、乾燥空気に水蒸気が混ざると混合気体としての平均分子量が下がり、密度も少し下がります。その結果、音速がわずかに上がる方向に働きます。
ただし、変化量は気温ほど大きくありません。乾燥状態から高湿度に変わっても、音速の差は数m/s程度に収まることが多く、時速にしても十数km/h程度の差です。日常の計算や学習問題では、湿度の影響を省略しても支障が出にくいのはこのためです。
たとえば同じ15℃でも、湿度0%付近と湿度100%付近を比べると、秒速でおおむね2〜3m/s程度の差として説明されることがあります。m/sの差は小さく見えますが、換算すると時速では約7〜11km/h程度の幅になります。
つまり、マッハ換算や精密な音響計測では無視しづらい一方、日常の「だいたい音速は時速1225km」という理解を崩すほどの要因ではない、という位置づけになるのです。
一方、音の「聞こえ方」は湿度だけでなく、雨や霧、風、地形、周囲の反射など複数要因に左右されます。湿度が高いと音が遠くまで届くと言われることがありますが、実際は吸収や散乱も絡むため、単純に距離だけで語り切れません。
速度としては「湿度が高いと少し速い」、体感としては「環境全体で聞こえ方が変わる」と分けて考えると理解しやすくなります。
補足として、屋外での「聞こえやすさ」は、風向きや気温の鉛直分布(上空ほど暖かい・冷たい)にも強く左右されます。音速そのものの差より、音の進む経路が曲がる、減衰しやすい環境になる、といった要素が体感に効くこともあります。湿度の話はあくまで「音速(数値)」の微調整要因として押さえておくと、情報を整理しやすいです。
マッハ1は秒速何mですか?

マッハという言葉は、航空機やロケットの話題で頻繁に出てきますが、仕組みを一度整理すると「なぜ同じマッハでもkm/hが一定ではないのか」が腑に落ちます。
マッハは、物体の速度を「その場の音速」で割った比です。マッハ1は「音速と同じ速さ」を意味します。したがって、空気中で気温15℃付近なら、マッハ1は秒速約340m(より細かく言えば340.3m/s程度)とされます。
マッハ数の基本式は次のとおりです。
マッハ数 M = 物体の速度 V ÷ 音速 a
この定義自体はシンプルですが、音速aが温度などで変わるため、同じMでもVが変わります。この点は、公的機関の教育用資料でも「マッハ数は速度と音速の比」として解説されています(出典:NASA Glenn Research Center「Mach Number」 https://www.grc.nasa.gov/www/k-12/airplane/mach.html )。
ここで注意したいのは、マッハ1が常に同じm/sではない点です。たとえば気温が上がれば音速が上がるため、同じマッハ1でも秒速が少し大きくなります。逆に寒い場所や上空で気温が低い場合、マッハ1の秒速は小さくなります。
さらに、速度表現としてのマッハは「音速に対してどれくらい速いか」を直感的に示します。音速付近(マッハ0.8〜1.2あたり)では、圧縮性の影響が強くなり、衝撃波が発生しやすいなど空力的な性質が大きく変わります。そのため、km/hよりマッハで語ったほうが、飛行状態の説明として分かりやすい場面が多いのです。
実務やニュースでは、ざっくりの基準として「マッハ1=約1225km/h」が使われることもありますが、航空分野の厳密な扱いでは「局所的な音速」が前提になります。つまり、マッハは速度の見た目を揃える便利な物差しであり、実速度は環境条件とセットで考えるのが筋です。
目安として、計算の流れだけ押さえると混乱が減ります。
- その場の音速aを温度から見積もる(例:a=331.5+0.6×気温℃)
- 求めたいマッハ数Mを掛ける(V=M×a)
- km/hが必要なら最後に×3.6で換算する
この順序で整理すると、「マッハは比」「秒速は計算しやすい単位」「時速はイメージしやすい単位」という役割分担がはっきりし、ニュースや資料の数字も読み解きやすくなります。
音速は時速何キロ?速度ごとの名称

- 亜音速と音速どっちが早い?
- 音速より速い代表例と注意点
- マッハ20で日本からハワイまで何分ですか?
- 時速28000キロはマッハいくつですか?
- 【まとめ】音速は時速何キロ?を総括
亜音速と音速どっちが早い?
亜音速と音速を比べるときは、まず言葉が指している範囲を整理すると迷いません。用語としての「亜音速」は、音速より遅い速度域を指します。つまり、速さの比較としては音速のほうが亜音速より速い、という関係になります。
整理すると、一般的な区分は次のとおりです。
亜音速はマッハ1未満、音速はマッハ1、超音速はマッハ1を超える領域です。旅客機の巡航はおおむねマッハ0.8前後とされることが多く、これは亜音速に入ります。
ただし、現場の解説や資料では、亜音速と超音速の間に「遷音速(せんおんそく、トランソニック)」という重要な領域が挟まることがよくあります。
遷音速は、機体の一部で局所的に音速を超える流れが生じやすい速度帯で、一般にマッハ0.8〜1.2前後として説明されるのです。ここでは、全体の飛行速度がまだマッハ1未満でも、翼の上面などで流れが加速して衝撃波が発生し、抵抗が急増する現象(ドラッグ・ライズ)が起こりやすくなるでしょう。
ポイントは、亜音速が「ある1つの速度」ではなく「音速未満の範囲」をまとめた呼び方だという点です。
音速は境界に相当し、音速付近では空気の圧縮性が効きやすくなり、抵抗の増加や衝撃波の発生といった現象が問題になりやすい領域です。したがって、言葉の意味としても現象としても、亜音速と音速は明確に区別しておくと読み間違いが減ります。
さらに理解を補うために、速度帯の呼び分けを目安として表にまとめます。数値は目安であり、機体形状や高度、温度条件によって「どの現象が強く出るか」は前後します。
| 速度帯 | マッハ数の目安 | 起こりやすい特徴 |
|---|---|---|
| 亜音速 | 0〜1未満 | 衝撃波は基本的に生じにくく、抵抗は比較的穏やか |
| 遷音速 | 約0.8〜1.2 | 局所的な超音速化と衝撃波で抵抗が急増しやすい |
| 超音速 | 1超 | 機体周りに明確な衝撃波が形成され、波に伴う抵抗が支配的になりやすい |
| 極超音速 | 5以上 | 断熱圧縮などで高温になり、熱・材料・燃焼の問題が大きくなる |
このように、「亜音速か音速か」は単純な速度比較だけでなく、空気のふるまいが切り替わる境目として扱われます。用語を速度の大小だけで捉えず、どの現象が前に出てくる領域なのかまで一緒に押さえると、説明の意図が読み取りやすくなります。
音速より速い代表例と注意点

音速より速いものを整理するうえで、まず「速度帯」の違いを知っておくと、ニュースや技術情報の読み解きがスムーズになります。音速より速い速度は「超音速」、さらにマッハ5以上は「極超音速」と分類されることが多いです。
代表的な例(空気中)
- コンコルド:巡航マッハ2(時速2170km/h級)
- 戦闘機(F-15など):マッハ2〜2.5(時速2400〜3000km/h級)
- ミサイル・HGV滑空体:ロケットブースター加速後にマッハ20級に到達する試験モデルが存在
- 再突入体:大気圏再突入時にマッハ20超の速度スケールで議論されることがある
注意点
衝撃波の形成とソニックブーム
- 音速を超えると機体前面・後面に圧力の不連続(衝撃波)が形成されます。
- この衝撃波が地上に届くと、急激な圧力変化として「ソニックブーム」が聞こえる可能性があります。
- これは「爆発音」ではなく「圧力波の通過による現象」です。
ソニックブームは「爆発音が鳴る」のではなく、機体が作る圧力の不連続(衝撃波)が通過するときに、地上で急な圧力変化として感じられるものです。(出典:NASA Glenn Research Center「Sonic Boom」)
抵抗の急増(ドラッグ・ライズ)
速度が上がると衝撃波による造波抵抗の比率が増え、形状によっては抵抗の増え方が急になることがあります。
- 遷音速(マッハ0.8〜1.2)を経て音速を突破すると、造波抵抗の比率が一気に増え、機体形状によっては抵抗が急増します。
- 低アスペクト比翼・細長い機体・大推力エンジン設計が必要になります。
熱負荷と材料制約

超音速域では空気抵抗が増えやすく、機体には熱負荷もかかります。
- 速度が上がるほど、衝撃波加熱・断熱圧縮加熱・摩擦加熱が同時に発生します。
- 機体表面温度は2000℃超のスケールで議論されることもあり、アブレーション材・耐熱合金・再生冷却設計が必要になります。
速度が上がるほど摩擦や圧縮による加熱が無視できなくなるため、材料や冷却、形状設計が非常に難しくなるのです。つまり、音速より速い世界は、速度の話と同時に空力・熱・構造の話がセットで出てくる領域だと捉えると、ニュースの文脈も追いやすくなるでしょう。
通信遮断とプラズマ層
- 機体周囲の空気は電離しやすく、プラズマ層(プラズマシールド)が形成される可能性があります。
- これが通信やセンサー誤差の原因になります。
マッハ数の基準依存
超音速・極超音速で「注意点」として特に押さえておきたいのは、同じマッハ数でも環境によって実速度(m/sやkm/h)が変わることに加え、機体が受ける負担の種類と大きさも変わりやすい点です。
たとえば、速度が上がると衝撃波による造波抵抗の比率が増え、形状によっては抵抗の増え方が急になることがあります。さらに極超音速になると、空気の圧縮で温度が大きく上がり、表面の加熱が設計の中心課題になります。
- マッハは「その場の音速」で割る比なので、同じ時速でも高度・気温・組成で見えるマッハ数が変動します。
- たとえば海面基準(15℃)なら時速28,000kmはマッハ22.9級、-50℃級の高高度基準ならマッハ25.8級の見え方になります。
運用制約
音速より速い世界を「速いからすごい」とだけ捉えるよりも、次のように見方を切り替えると理解が深まります。
- 現代の旅客機は効率・騒音・燃焼安定のためマッハ1未満の巡航(亜音速)が中心です。
- マッハ20級は主に軍事滑空体(HGV)の議論・試験飛行・再突入機の再突入速度スケールとして扱われ、持続巡航燃焼は限定的です。
- 離着陸性能の低下、滑走路長、騒音規制、空力安定、熱管理など速度以外の設計要素が飛行時間や安全運用を支配します。
音速を超えると、衝撃波という新しい現象が前面に出て、抵抗・騒音・熱負荷・構造・通信などの制約が一気に強くなる、ということです。これを頭に入れておけば、超音速機や極超音速兵器の説明で「なぜ難しいのか」「なぜ制限があるのか」負担の種類と運用制約まで一緒に押さえると情報の整理が安定します。
マッハ20で日本からハワイまで何分ですか?

マッハ20は「音速の20倍」という意味を持つ無次元比率で、航空・宇宙工学・軍事技術の文脈で使われる極めて高い速度帯です。まず速度感を正しく掴むと、この数値がどれほど大きいかが分かります。
マッハ1(15℃・海面付近の標準大気の目安)は約340.3m/s、時速では約1225km/hです。これを20倍すると、マッハ20の代表速度は約6806m/s、時速に換算すると約24,500km/h級になります。
ここでは比較対象として世界的に信頼される一次情報源の計算モデルが公開されている、NASAの極超音速研究プログラムと飛行試験情報を基準として理解を補います。
NASAは極超音速領域(マッハ5超)における飛行試験(HTV-2/ARRWなど)と熱負荷・到達時間モデルを公的に公開しており、マッハ20級はロケットブースター加速後の滑空(HGV方式)で実現されるという整理が主流です。
(出典:Armstrong Hypersonics Research – NASA )
直線距離と理想速度での到達時間
- 東京–ホノルルの直線距離:約6190km(羽田–ホノルル間もほぼ同等の約6190km級として扱われます)
- マッハ20の速度:1225km/h × 20 = 24,500km/h
- 所要時間(理想):6190 ÷ 24,500 = 0.25265時間
- 分に換算:0.25265 × 60 = 15.16分(約15分)
この「15分」はあくまで、加速・減速・上昇・降下・旋回・空気抵抗・熱制約・航路調整・安全運用などをすべて無視した「理想の直線・一定速度」モデルです。
実際のマッハ20級飛行は、地上からのブースト段階(ロケット推進で50km以上の高度まで加速)→ 無動力滑空で進むHGV方式が中心となり、巡航高度では気温が-50℃級になることもあるため、局所音速(約1084km/h級)で計算するとマッハ数の見え方が変わります。
現実のマッハ20級飛行で起こる制約
熱負荷とプラズマシールド
マッハ20級で大気中を進む物体は、機体表面温度が2000℃を超える領域に達しやすく、空気分子の断熱圧縮・衝撃波加熱・摩擦加熱が同時に発生します。このとき周囲の空気は電離し、プラズマの層(プラズマシールド)が機体周囲を包むことがあり、通信の遮断やセンサー誤差の原因となるのです。
これに対応するため、先端部はアブレーション材や超高温耐熱材、または燃料による再生冷却設計が使われます。
加速・減速・上昇・降下
マッハ20は「瞬間的な最大速度」に近い扱いになることが多く、地上から一気にその速度に達することはできません。
ロケットブースターで加速しながら上昇し、滑空に切り替えたあとも空力安定と熱管理のため姿勢制御が必要です。さらに目的地付近では減速と降下を行うため、速度維持時間は限定的で、理想計算より大幅に所要時間が延びます。
航路と地球曲率
直線距離6190kmは地球曲率を無視した「大円航路よりさらに短い理想線」です。実際は地球表面に沿った大円(大圏)航路を飛ぶのが最短ルートであり、高度を上げて直線に近づけても「完全な直線」にはなりません。
また、極超音速機は離着陸性能が低下しやすく、長滑走路や高推力エンジン設計が必要になる点も運用時間を押し上げます。
音速との比較
マッハは「その場の音速との比」なので、同じ時速24,500kmでも高度条件で見えるマッハ数は22.9〜25.8級まで変わる可能性があります。
時速28000キロはマッハいくつですか?

時速28,000kmという数字は、地球低軌道(LEO)を周回する宇宙船の速度スケールと同等の領域で語られることがあり、極超音速兵器の滑空距離モデル(6500km級・マッハ20超)や、宇宙機の再突入速度の議論で比較対象として扱われることもあります。
ここでは、空気中での標準的な海面条件(15℃・1気圧付近・乾燥空気に近い)を基準として、マッハ換算の手順を誠実に整理します。
標準条件(海面・15℃付近)での換算
- 音速の目安:時速約1225km/h(340.3m/s相当)
- マッハ数M = 速度V ÷ 音速a(同じ単位で割る)
- 28,000 ÷ 1225 = 22.857…
- したがって、マッハ約22.9になります。
高度条件での換算(参考イメージ)
- 高度1万m付近の気温は-50℃級になることがあり、そのときの局所音速は時速1084km/h級まで下がると説明されることがあります。
- 28,000 ÷ 1084 = 25.83…
- つまり、同じ時速28,000kmでもマッハ25.8級の見え方になります。
この「見えるマッハ数の変動」は、速度が変わったからではなく「割る基準(局所音速)」が変わったためです。ニュースや資料で「マッハ20」や「時速表記」が混在する際に生じるズレは、この基準違いから生まれます。
マッハ20超領域の現実
- 現在この速度帯は軍事滑空体(HGV)や再突入機の議論で使われることが中心で、持続的な巡航燃焼(スクラムジェットによるマッハ20巡航)は技術的に極めて限定的です。
- ほとんどがロケットブースター加速 → 無動力滑空 → 目的地付近で減速・降下という運用モデルです。
- 機体周囲の空気は電離しやすく、通信・姿勢制御・熱管理・プラズマ層の発生・材料の耐久性など、速度以外の設計要素が所要時間や安全運用を支配します。
【まとめ】音速は時速何キロ?を総括
この記事のポイントをまとめます。
- 空気中の音速は15℃・1気圧で秒速約340メートルが代表的な基準値です
- 秒速340メートルは時速換算で約1225キロメートル前後のスケールになります
- 音速は定数ではなく温度条件で変動し、環境ごとの局所音速が存在します
- 気温が1℃下がるごとに音速は毎秒約0.6メートル低下する近似関係があります
- 音速の算出は距離÷時間の実測式と、気温補正式による概算式の2種類で整理できます
- 気温補正式は331.5+0.6×気温(℃)の形で実用的な見積もりに適しています
- 音速の単位はm/sが標準で、km/h換算は3.6倍することで統一的に計算できます
- マッハ数は物体速度をその場の音速で割った無次元比率として定義されます
- マッハ1は15℃付近の空気中で秒速340メートル級の基準として扱われることが多いです
- 湿度が高い空気は平均分子量の低下により、音速が数m/sほど上昇する傾向があります
- 湿度の影響は温度効果より小さく、日常の概算では誤差1%未満の範囲に収まることが多いです
- 音速は媒質の弾性と密度で決まり、気体→液体→固体の順に速度が大きくなります
- 水中の音速は毎秒1500メートル級で、空気中の約4倍以上の伝播速度スケールです
- 鉄・鋼などの固体は縦波音速で毎秒6000メートル級となり、空気とは桁が異なります
- マッハ20で東京–ホノルル直線距離6190km級を飛ぶ理想計算では約15分台で見積もれます
- 時速28000kmは海面付近15℃基準(1225km/h)で割るとマッハ22〜23級の速度比率です
- 高高度・低温条件(音速1084km/h級)で割る場合、見えるマッハ数は25級前後まで上がります
- 亜音速はマッハ1未満の速度域であり、音速より遅い領域全体をまとめた呼びです
- 音速突破後は衝撃波が形成され、造波抵抗・ソニックブーム・加熱が設計課題になります
- 音速 時速 何キロは基準温度と媒質条件をセットで把握すると数値の意味が整理しやすいです
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