戦闘機 エンジンの仕組みを徹底解説|ジェット推進の原理と特徴とは

飛行中の戦闘機とタイトル文字

戦闘機の性能を語る上で欠かせないのが、その心臓部であるエンジンです。「戦闘機 エンジン 仕組み」と検索される方の多くは、ジェットエンジンがどのような原理で動き、どのようにしてあの圧倒的な推力を生み出しているのかを知りたいのではないでしょうか。

この記事では、ジェットエンジンの基本的な仕組みを簡単に解説しながら、子供向けにもわかりやすい原理の説明を交え、圧縮機の仕組みや逆噴射の仕組みといった専門的な内容にも触れていきます。また、飛行機のエンジンの種類についても整理し、特に戦闘機で使われるターボファンエンジンの仕組みを中心にご紹介します。

さらに、旅客機と戦闘機エンジンの違いや、戦闘機のアフターバーナーの仕組み、飛行機のエンジンはどうやって冷やしているのかといった実用的な視点にも焦点を当てています。最後には、気になる「戦闘機のエンジンの値段は?」といった経済面にも触れ、読者の知的好奇心を満たす内容を網羅しました。

専門知識がなくても理解できるよう配慮した構成ですので、ぜひ最後までお読みください。

この記事を読んでわかること
  • 戦闘機に使われるジェットエンジンの基本構造と原理
  • 圧縮機やアフターバーナーなど各部品の役割
  • 旅客機とのエンジン構造や性能の違い
  • エンジン冷却や逆噴射の仕組みと運用上の工夫
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目次

戦闘機 エンジンの仕組みを徹底解説

「戦闘機 エンジンの仕組み」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ
  • ジェットエンジンの仕組みを簡単に解説
  • ジェットエンジンの原理を子供向けに説明
  • ジェットエンジンと戦闘機の関係とは
  • 戦闘機のアフターバーナーの仕組みは?
  • ジェットエンジンの圧縮機 基本的な仕組み

ジェットエンジンの仕組みを簡単に解説

ジェットエンジンは、飛行機を前に進める力を生み出すための装置です。空気を取り込み、燃料と混ぜて燃やし、そこで発生した高温・高圧のガスを後方に勢いよく噴き出すことで、前進の力(推力)を得るという仕組みです。

この働きは、ニュートンの第3法則「作用・反作用の法則」に基づいています。つまり、後ろへ強い力をかけると、前に進む力が発生するという物理の原則です。

ジェットエンジンの基本的な動作の流れは、次のように整理できます。

  • 前方から大量の空気を吸い込む
  • 吸い込んだ空気を圧縮機で高圧に圧縮する
  • 圧縮された空気に航空用燃料を噴射し、燃焼室で燃やす
  • 発生した高温高圧のガスがタービンを回してエネルギーを生み出す
  • タービンを通過したガスがノズルから高速で排出され、推力が発生する

この工程で特に重要なのが「連続的な燃焼」です。自動車のように一時的な爆発で動くエンジンとは違い、ジェットエンジンは連続して燃焼を行いながら排気し続けるため、非常に安定した出力を得ることができます。

ただし、どれだけ高性能な燃料を使用しても、空気の圧縮やガスの排出が非効率であれば十分な推進力は得られません。そのため、空気とエネルギーの流れをいかに無駄なく活用するかが重要になります。

ジェットエンジンにはいくつかの種類があります。代表的なものは以下のとおりです。

  • ターボジェットエンジン
  • ターボファンエンジン
  • ターボプロップエンジン

これらは見た目や使い道に違いがあっても、基本的な仕組みは共通しています。空気を取り込んで圧縮し、燃やし、ガスを後方に噴き出すことで推力を得る――このシンプルながら高度な仕組みこそが、現代の航空機が高速かつ長距離飛行を可能にしている理由の一つです。


ジェットエンジンの原理を子供向けに説明

「ジェットエンジンの原理を子供向けに説明」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ

飛行機が空を飛ぶための力を作るのがジェットエンジンです。ちょっとむずかしく聞こえるかもしれませんが、わかりやすくたとえると「空気をたくさん吸って、おしりから思いっきりふき出すことで、前に進む力を作るすごいマシン」です。

まず、エンジンは大きな口のようになっていて、そこから空気をいっぱい吸い込みます。その空気を中でギュッと小さく押し縮めたあと、燃料(とくべつなガソリンのようなもの)をまぜて、火をつけて燃やします。すると、すごく熱くなった空気ができて、それがものすごいスピードでうしろに飛び出していくのです。

このとき、ガスがうしろに出ていく力の「はんたいの力」で、飛行機は前に進みます。これを「推力(すいりょく)」といって、飛行機を空に飛ばす力になるのです。

たとえば、風船をふくらませて手をはなすと、空気がピューッと出て、風船が逆の方向に飛んでいきますね? それとよくにたしくみです。ジェットエンジンは、それをずっとくりかえして、ずーっと空を飛びつづけられるようになっているのです。

もちろん、空の高いところを速く飛ぶためには、たくさんの工夫が必要だけど、基本のしくみは「空気を吸って、燃やして、ガスをふき出す」です。とってもかっこいいですね!


ジェットエンジンと戦闘機の関係とは

「ジェットエンジンと戦闘機の関係」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ

戦闘機は、高速で飛行し、瞬時に加速・旋回できる機動性が求められるため、非常に高性能なジェットエンジンが必要です。そのため、戦闘機には主にターボファン型のジェットエンジンが使われており、なかでも「低バイパス比」のものが選ばれます。

バイパス比とは、エンジンに吸い込んだ空気のうち、燃焼せずに外側を通って排出される空気の割合のことです。旅客機は燃費や騒音を重視して高バイパス比のエンジンを使いますが、戦闘機では推力と加速性能を重視するため、バイパス比は低めに設定されています。

さらに、戦闘機のジェットエンジンにはアフターバーナーが搭載されていることが一般的です。これは、通常の排気のあとにもう一度燃料を燃やして推力を一時的に大幅アップさせる装置です。これによって急加速や超音速飛行が可能になりますが、燃料消費が激しくなるため、使いどころには注意が必要です。

ただし、高出力を重視する設計である分、戦闘機用のジェットエンジンは燃費が悪く、寿命も商用機用に比べて短い傾向があります。整備コストも高くなりますが、それでも戦闘性能を最大化するためには欠かせない技術です。

このように、戦闘機とジェットエンジンは切っても切れない関係にあり、エンジンの性能がそのまま戦闘機の強さに直結することも少なくありません。

戦闘機のアフターバーナーの仕組みは?

「戦闘機のアフターバーナー」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ

アフターバーナーは、ジェットエンジンの後方に設けられた追加燃焼装置で、戦闘機のように一時的に大きな推力が必要な場面で使用されます。通常のエンジン出力では不足する急加速や超音速飛行などにおいて、大きな役割を果たします。

アフターバーナーの基本的な仕組みは、以下の通りです。

  • エンジン内部で空気と燃料を燃焼させ、高温高圧のガスを発生させる
  • 発生したガスはタービンを通過し、通常はそのまま後方に噴射される
  • アフターバーナーが作動すると、この排気ガスに追加で燃料を噴射する
  • 排気ガスが再び燃焼し、温度と体積がさらに増加する
  • 噴射速度が高まり、短時間で大きな推力が得られる

この再燃焼により、得られる推力は通常時と比較して以下のように変化します。

  • 機種によって異なるが、30~100%程度の推力増加が可能
  • 例:F-16やF-22では最大で約2倍の推力を発揮できることもある

ただし、アフターバーナーには以下のようなデメリットや制限があります。

  • 燃料消費が非常に大きいため、長時間の使用には適さない
  • 作動中はノズルから炎が出て、視認性が高くなる
  • ステルス性が求められる作戦では使用を控える必要がある

このように、アフターバーナーは短時間で強力な加速を実現する一方で、燃費や目立ちやすさといった面で慎重な運用が求められます。結果として、戦闘機の性能を一時的に限界まで引き出すための重要な補助装置といえるでしょう。


ジェットエンジンの圧縮機 基本的な仕組み

戦闘機ジェットエンジンの圧縮機
https://kain-aerospace.hatenablog.jp/entry/2021/01/05/123141より引用

ジェットエンジンにおける圧縮機は、外気を取り込んで高圧に圧縮し、燃焼室へと送り込む重要な装置です。この圧縮によって燃焼効率が大きく向上し、強力な推力を得ることが可能になります。エンジンの性能を支える中核的な構成要素といえるでしょう。

圧縮機の構造は以下の通りです。

  • 「ローター(回転羽根)」と「ステーター(固定羽根)」が交互に配置される多段構成
  • ローターは高速回転し、空気に運動エネルギーを与える
  • ステーターは空気の流れを整えて、次の段へスムーズに導く役割を持つ

この構造により、空気は次第に加圧されていき、最終的には高圧状態で燃焼室へ供給されます。

代表的な圧縮方式の一つである「軸流式圧縮機」の特徴は以下の通りです。

  • 空気がエンジン軸方向に直線的に流れる
  • 各段の圧縮率は低いが、段数を重ねることで高圧に到達可能
  • 一般的には10段以上を使用し、最終的に20〜40倍以上の圧力が得られる

ただし、圧縮機には次のような課題もあります。

  • 空気の流れが乱れると「コンプレッサーストール」が発生し、出力が急低下する
  • 運転の安定性を確保するための機構が必要不可欠

そのため、近年のジェットエンジンには以下の工夫が施されています。

  • 「可変ステーター」により、空気流を運転条件に応じて調整
  • 「ブリードバルブ」により、不要な空気を逃がして流れを安定化

このように、圧縮機は単なる空気の圧縮装置ではなく、高効率な燃焼とエンジンの安定動作を両立させるための精密なメカニズムとして重要な役割を担っています。

最新戦闘機のエンジンの仕組みとは

「飛行機のエンジン 種類」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ
  • 飛行機のエンジン 種類と分類の基準
  • ターボファンエンジンの仕組みと特性
  • 旅客機と戦闘機 エンジンの違いを比較
  • 飛行機のエンジンはどうやって冷やしているのか
  • ジェットエンジン 逆噴射の仕組みを解説
  • 戦闘機のエンジンの値段は?

飛行機のエンジン 種類と分類の基準

分類基準 内容
動力の仕組み レシプロエンジン(ピストンの往復運動で回転力を得る)
ジェットエンジン(タービンで圧縮機を駆動し燃焼ガスで推進)
ジェットエンジンの種類 ターボジェット、ターボファン、ターボプロップ、ターボシャフトなど
空気の圧縮方法 レシプロエンジンはピストン式
ジェットエンジンは軸流式・遠心式
ラムジェットは高速運動で自然圧縮
推力の発生方法 プロペラ回転による推進(レシプロ・ターボプロップ)
燃焼ガスの反作用による推進(ターボジェット・ターボファン)
冷却方式・構造 空冷式・水冷式
シリンダー配置(水平対向型、V型、星型など)

飛行機に搭載されるエンジンにはさまざまな種類があり、用途や機体の特性に応じて使い分けられています。これらは動力の仕組みや圧縮方法、推進力の発生方法など、いくつかの基準によって分類されます。

最も大きな分類基準の一つは、動力を得る仕組みの違いです。たとえば、「レシプロエンジン」はピストンの往復運動によって回転力を得る仕組みで、小型飛行機などに用いられます。一方、「ジェットエンジン系」はタービンで圧縮機を駆動し、燃焼ガスの噴射によって推力を得るものです。

さらにジェットエンジンは細かく分かれており、「ターボジェット」「ターボファン」「ターボプロップ」「ターボシャフト」などがあります。

次に挙げられるのが、空気の圧縮方法による分類です。レシプロエンジンはピストンによって空気を圧縮しますが、ジェットエンジンでは軸流式や遠心式の圧縮機を使って、連続的に大量の空気を圧縮します。また、ラムジェットのように機体の高速運動によって自然な空気の圧縮を利用するタイプも存在します。

さらに、推力の発生源が何かという視点も重要です。プロペラを回して前進するレシプロエンジンやターボプロップと、燃焼ガスを直接噴射して反作用で進むターボジェットやターボファンでは、エネルギーの使い方がまったく異なるのです。

最後に、冷却方式やシリンダー配置といった細部の構造でも分類が。特にレシプロエンジンでは、空冷式か水冷式か、また水平対向型・V型・星型などの形状によってもエンジンの性質が変わります。

このように、飛行機のエンジンは「どうやって空気を圧縮し」「どんな方法で推力を生み出すか」といった観点から複数の軸で分類されており、それぞれの特性に応じて使い分けられているのです。


ターボファンエンジンの仕組みと特性

ジェットエンジン

川崎重工業
より引用
項目 内容
エンジンの種類 ターボファンエンジン(現代の旅客機・戦闘機で広く使用)
構造の特徴 大きなファンとエンジンコアの組み合わせにより推力を生成
空気の流れ 一部は燃焼、もう一部はバイパスを通って推力へ
バイパス比とは 燃焼せずバイパスされる空気の割合を示す指標
高バイパス比の特徴 燃費良好・騒音低減(旅客機向け)
低バイパス比の特徴 高出力・小型設計(戦闘機向け)
用途による設計の違い 旅客機は効率性重視、戦闘機は機動性と出力重視
総合的な特徴 高効率・高推力・静音性を兼ね備えた万能エンジン形式

ターボファンエンジンは、現代の旅客機や戦闘機で最も多く採用されているジェットエンジンの一種です。特徴的なのは、前方に設置された大きなファンと、エンジンコア(中心部)の組み合わせによって効率的に推力を生み出す構造になっている点です。

このエンジンの仕組みを簡単に説明すると、まず大きなファンが大量の空気を取り込みます。この空気は2つの流れに分かれます。

一部はエンジン内部へ送られ、圧縮・燃焼・膨張のプロセスを経て高速の燃焼ガスとして排出され、推力となり、もう一方の空気は、燃焼せずにエンジンの外側(バイパス)を通って、そのまま後方へ排出されるのです。このバイパス空気も推力の一部を担っているのが大きな特徴です。

ファンによって発生するバイパス空気の割合は、「バイパス比」と呼ばれています。バイパス比が高い場合、燃焼を経ずに推力へ変換される空気量が増えるため、燃料効率に優れ、騒音も抑えられるという利点があります。この特性から、高バイパス比のターボファンエンジンは、旅客機との相性が良好です。

一方で、戦闘機に搭載されるエンジンは、バイパス比が低めに設定されています。これは、より強力な推力を得るために、燃焼ガスのエネルギーを最大限活用する必要があるからです。高出力が要求される戦闘機では、燃費や静音性よりも、瞬時の加速力や運動性能が重視されます。

また、バイパス空気を多く取り込む構造は、必然的にエンジン本体を大型化させる要因となります。機体の軽量化と敏捷性を確保する必要がある戦闘機では、このような大型化は避けるべき要素です。そのため、戦闘機向けエンジンでは、バイパス比を抑えた設計が採用され、出力性能と機動力のバランスが慎重に調整されています。

このように、ターボファンエンジンは、燃焼による高エネルギーと、ファンによる大流量の空気を組み合わせることで、高効率で静音性にも優れた推力を生み出す優秀なエンジン形式です。使われる用途によってバイパス比や設計が調整され、旅客機・戦闘機どちらにも適応できる柔軟性が魅力と言えます。

参考資料:川崎重工業

旅客機と戦闘機 エンジンの違いを比較

「旅客機と戦闘機」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ
項目 旅客機エンジン 戦闘機エンジン
目的 長距離を効率よく安全に飛ぶ 高機動・急加速・戦闘性能を重視
重視される性能 燃費、静音性、信頼性、耐久性 推力重量比、瞬発力、超音速対応
エンジン形式 高バイパス比ターボファンエンジン 低バイパス比ターボファンエンジン
推力の出し方 大量の空気をゆっくり後方に排出 燃焼ガスを高速噴射しアフターバーナー併用
燃費 非常に良好 燃料消費が激しい
アフターバーナー 非搭載 標準搭載、短時間で大推力を得る
耐久性 数千時間運転を想定 頻繁な整備を前提
コスト 長期的運用でコスト効率重視 高コストでも性能優先
設計思想 持続性・安全性・快適性を最優先 高出力・即応性を最重視

旅客機と戦闘機では、搭載されるエンジンの設計方針や性能要件に大きな違いがあります。これは、それぞれが果たす役割や運用される飛行環境が根本的に異なることに起因しているからです。

旅客機においては、長距離を安全かつ経済的に飛行することが最優先とされます。そのため、エンジンには燃費性能、静粛性、信頼性、さらには耐久性が強く求められるのです。

こうしたニーズに応えるべく、高バイパス比のターボファンエンジンが採用されており、大量の空気をゆっくりと後方に押し出すことで、効率的に推進力を生み出しています。この構造は燃料の消費を抑えるうえ、騒音の軽減にも有効です。

一方、戦闘機に必要なのは、急加速や急旋回、垂直上昇といった高機動性です。このような特性を実現するには、エンジンの推力重量比を高く保つことが不可欠であり、低バイパス比のターボファンエンジンが使用されます。

また、戦闘機にはアフターバーナーと呼ばれる追加燃焼装置が装備されており、一時的に爆発的な推力増加を実現可能です。この機能により、超音速飛行や瞬間的な加速といった戦術的機動が可能となる一方、燃料消費は非常に激しくなります。

耐久性の観点でも両者は大きく異なります。旅客機のエンジンは、数千時間におよぶ連続運転に耐えられるよう設計されていますが、戦闘機のエンジンは軽量かつ高出力を優先しているため、頻繁な整備や部品交換を前提としています。これにより、運用コストの考え方にも違いが見られるのです。

このように、旅客機のエンジンは「持続性と効率」を軸に、戦闘機のエンジンは「瞬発力と高出力」を重視して設計されています。ひとくちに飛行機のエンジンと言っても、用途や目的によってその構造や性能はまったく別物といえるでしょう。

飛行機のエンジンはどうやって冷やしているのか

首をかしげるレトリバーの戦闘機パイロット
ボクのヒコーキ・イメージ
項目 レシプロエンジン ジェットエンジン
冷却方式の種類 空冷式 圧縮空気による内部冷却+フィルム冷却
冷却の仕組み 外気を取り込み、冷却フィンで放熱 冷却用空気を部品内部に通して冷やす
主な対象部位 シリンダー・ピストン周辺 燃焼室・タービンブレード
構造の複雑さ 比較的シンプルで軽量 非常に複雑な内部構造が必要
冷却の課題 高出力時の冷却性能に限界 冷却効率が悪いとエンジン寿命や性能に影響
使用される機体 小型飛行機など 旅客機・戦闘機など大型機
将来技術の例 特になし ブリードエアや電動冷却システムの研究進行中

飛行機のエンジンは運転中、非常に高温の状態にさらされます。とくにジェットエンジンでは、燃焼室やタービンが高温高圧のガスに直接接し、部品の表面温度が数百度から、場合によっては1000℃を超えることもあります。このような過酷な環境で安全に作動させるには、効果的な冷却技術が不可欠です。

冷却の方法はエンジンの種類によって異なります。たとえば、レシプロエンジン(ピストンエンジン)では、一般的に空冷式が採用されています。

この方式では、飛行中に取り込んだ外気をエンジン周囲に流し、シリンダーに設けられた冷却フィンを通して熱を逃がす仕組みです。構造が比較的シンプルで軽量なことから、小型機に多く使われています。

一方、ジェットエンジンの場合はより複雑な冷却技術が用いられます。前方で圧縮された空気の一部を冷却用に回し、燃焼室やタービンブレード内部へ通すことで、金属部品の温度上昇を抑える設計です。

タービンブレードの中には微細な空気の通路が組み込まれており、これを通じて内側から冷却が行われます。さらに、ブレード表面には小さな穴が多数空けられ、そこから冷却空気を吹き出す「フィルム冷却」によって、外部の熱から部品を守っています。

このような冷却構造には、きわめて高度な設計と先進的な素材技術が必要とされます。冷却効率が悪ければ、エンジンの寿命が短くなるだけでなく、性能面にも大きな悪影響を及ぼすからです。

そのため、近年ではブリードエア(圧縮空気を一部抜き取る方式)や電動ファンによる冷却など、新たな冷却システムの研究開発も進められており、効率と軽量性の両立が求められています。


ジェットエンジン 逆噴射の仕組みを解説

「ジェットエンジン 逆噴射」イメージ画像
ボクのヒコーキ・イメージ

飛行機が着陸した直後、「ゴーッ」という大きな音が響くことがあります。これは、ジェットエンジンの逆噴射装置(スラストリバーサー)が作動している音です。逆噴射は、飛行機が短距離で安全に停止するための重要な補助機能です。

通常のジェットエンジンは、前方から吸い込んだ空気を燃焼させ、そのエネルギーで発生した排気ガスを後方に高速で噴き出すことで前進する推力を生み出します。逆噴射は、この排気の向きを変えることで機体を減速させる仕組みです。

逆噴射の基本的なポイントは次の通りです。

  • 作動タイミング:着陸時、主輪接地後すぐに使用される
  • 目的:車輪ブレーキだけでは不十分な制動力を補う
  • 効果:滑走路上での停止距離を短縮し、安全性を向上させる

逆噴射の方式には2つの代表的なタイプがあります。

カスケード方式

  • ターボファンエンジンのバイパス空気(外側を流れる空気)を逆方向に排出
  • エンジンコア内部の高温ガスには触れない構造
  • 軽量で信頼性が高く、主に旅客機で採用されている
  • 可動パネルとダクトによって空気の流れを制御

バケット(クラムシェル)方式

  • エンジンの排気ノズルに可動パネルを設けて、高温排気ガスを直接前方に反射
  • 構造が単純な一方、高温に耐える素材が必要
  • 主に軍用機や旧型の機体に見られる

逆噴射の運用における注意点は以下の通りです。

  • エンジンへの負荷:作動時は機械的・熱的に大きな負担がかかる
  • 異物吸引リスク:滑走路の小石や破片を巻き上げて吸い込む恐れがある
  • 運用制限:「リバースアイドル」と呼ばれる低出力逆噴射でエンジンの負担を軽減する運用も増えている

このように、逆噴射装置は飛行機の着陸時における安全確保に欠かせない装置ですが、その使用には慎重な制御と高い耐久性が求められます。用途や機体の種類に応じて適切な方式が使い分けられているのが特徴です。


戦闘機のエンジンの値段は?

テーブルで小銭を数える女性

戦闘機のエンジンは、非常に高性能かつ高価格な工業製品のひとつです。その価格は、機種や仕様、オプション装備の有無によって大きく変動しますが、概ね数千万ドル、つまり日本円で数十億円に達することが一般的です。

たとえば、F-35戦闘機に搭載されているプラット・アンド・ホイットニー製の「F135エンジン」は、1基あたりおよそ1億ドル程度とされることがあります。これは、エンジン単体の価格であり、整備費用や冷却・電子制御システムなどを含めればさらに高額になるでしょう。

戦闘機のエンジン
F135エンジン:Wikipediaより引用

このような価格になる背景にはいくつかの理由が。まず、戦闘機のエンジンにはアフターバーナーや可変ノズルといった高度な装置が組み込まれており、推力と機動性を極限まで高める必要があります。加えて、軽量化と耐熱性を両立させるために、特殊な金属や高精度の加工技術が不可欠です。

また、軍用エンジンは民間機と比べて生産数量が少なく、量産によるコスト削減が難しいという面もあります。さらに、軍事機密として厳しい情報管理が求められ、設計・開発から製造・運用まで、非常に高コストな体制が必要です。

このため、エンジン1基だけでも中小規模の民間機に匹敵する費用がかかることになります。もちろん、戦闘機の性能を決定づける中核技術である以上、それだけのコストをかける意義があるとも言えるでしょう。

戦闘機エンジンの仕組みについて総括

この記事のポイントをまとめます。

  • ジェットエンジンは空気と燃料を燃やして推力を生む
  • 推力はニュートンの作用・反作用の法則によって発生する
  • 圧縮機で空気を圧縮し燃焼効率を高める
  • 燃焼ガスがタービンを回し後方に排出されて機体が進む
  • ターボファンエンジンはファンとエンジンコアで推力を分担する
  • 戦闘機では低バイパス比エンジンが採用されることが多い
  • アフターバーナーは排気に再度燃料を加えて一時的に推力を強化する
  • アフターバーナー使用中は燃料消費が急激に増える
  • エンジン冷却には空気流路やフィルム冷却が活用されている
  • 圧縮機は多段構造で空気を効率よく高圧化する
  • 逆噴射装置は排気の流れを前方に導き減速を補助する
  • 飛行機のエンジンは用途別に種類と構造が大きく異なる
  • 戦闘機エンジンは高出力だが燃費と耐久性に課題がある
  • ジェットエンジンは連続燃焼によって安定した推力を維持する
  • 戦闘機のエンジンは1基数十億円に達する高額装備である

最後までお読みいただきありがとうございました。

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