映画『トップガン マーヴェリック』は、最新の空戦描写と高いリアリティで多くの観客を魅了しました。特に注目されているのが、劇中に登場する第五世代戦闘機とトップガンの描写です。そのモデルとされる機体の性能や特徴、どのような演出が施されているのかについて、多くの関心が集まっています。
また、トップガンの第五世代戦闘機の名前や、F-14は第何世代の戦闘機かといった疑問も多く検索されています。この記事ではF-16やF-35が使えない理由も解説。それぞれの機体の特性や制限を理解することで、作品の背景がより明確になるでしょう。
一部の観客からは、敵機に日の丸が描かれていたという声もありましたが、実際には異なるデザインであることが明らかになっています。さらに、映画内で描かれたミサイルの避け方や、F15とF-18の違いについても、知っておくとより理解が深まるでしょう。
本記事では、トップガンに登場した戦闘機一覧の紹介をはじめ、トップガンマーヴェリックの戦闘機は本物なのか、第5世代最強の戦闘機とは何かについても解説。作品をより楽しみたい方、そして航空機に興味のある方に向けた内容となっています。
- トップガンに登場する第五世代戦闘機の正体と描写の意図
- F-35やF-16が登場しない理由と作品設定の関係
- 敵機に日の丸が描かれているという誤解の真相
- 映画で使用された戦闘機の種類と本物かどうか
第五世代戦闘機が登場/トップガンの実像と描写

- トップガンの第五世代戦闘機の名前は?
- 敵機に日の丸の真相と誤解
- トップガンマーヴェリックの戦闘機は本物か?
- 第5世代最強の戦闘機は?
- トップガンでF-35が使えない理由
トップガンの第五世代戦闘機の名前は?
『トップガン マーヴェリック』に登場する第五世代戦闘機のモデルとなっているのは、ロシアのSu-57(スホーイ57)です。
NATOコードネームでは「フェロン(Felon)」と呼ばれており、ロシアが開発した最新鋭のステルス戦闘機です。ただし、劇中でこの名称が明確に使われているわけではありません。あくまでSu-57を参考にした架空の敵機として描かれており、映画上では特定の国名や正式な機体名が明かされていません。
Su-57は、現実でも第5世代戦闘機の要件を備えており、高いステルス性、推力偏向ノズルによる超機動性、AIによるパイロット支援、そして複数の高性能センサーによる情報収集・共有能力を特徴としています。
こうした性能面は、映画の中でも非常に忠実に再現されており、マーヴェリックたちの搭乗するF/A-18スーパーホーネットや、終盤に登場するF-14トムキャットと比べて、圧倒的に優れているように描写されています。
ただし、映画で登場する戦闘機は実際のSu-57ではなく、CGや模型によって制作されたものです。そのため、航空ファンからは「ディテールが実機と異なる」との指摘もありますが、全体的なシルエットや飛行パターンはSu-57に強く影響を受けているとされています。
つまり、『トップガン マーヴェリック』に登場する第五世代戦闘機の名前は、公式には明かされていないものの、形状や性能の描写からSu-57が明確なモデルであると判断できるのです。
参考資料:ロシア – 防衛省・自衛隊
敵機に日の丸の真相と誤解

『トップガン マーヴェリック』の公開後、一部の観客から「敵機に日本の国旗『日の丸』が描かれていたのではないか」という指摘があり、SNSなどで話題になりました。しかし、これは完全な誤解です。
映画に登場する敵機に描かれていたのは、赤い円と鳥のようなシンボルが組み合わされた独自のマークであり、日本の国旗である赤い円だけの「日の丸」とは明らかに異なるデザインです。
このような誤解が生じた理由には、いくつかの要因があります。まず、遠目で見た場合に赤い円だけが強調されてしまい、ディテールが見えにくくなるため、日の丸に見えてしまうことが考えられることです。また、映像の一部が逆光やスモークで不明瞭なシーンだったことも影響しました。
もう一つの重要な背景として、ハリウッド映画が国際市場を強く意識している点が挙げられます。
『トップガン マーヴェリック』では、敵国の名称や国旗、言語が意図的に曖昧にされており、特定の国家を名指ししない演出が徹底されているのです。これは、国際的な配慮と興行上のリスク回避を目的としたものであり、日本が敵として描かれるような意図は一切ありません。
このため、敵機の赤いマークが「日の丸」に見えたとしても、それが日本を示しているわけではありません。映画のデザインは、あくまでフィクションの「ならず者国家」という設定に基づいたものであり、政治的なメッセージは含まれていないと理解することが重要です。
トップガンマーヴェリックの戦闘機は本物か?

『トップガン マーヴェリック』では、使用された戦闘機の多くが実際の機体です。特に主役となるアメリカ海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネットは、本物の実機が使用されており、俳優たちも実際にこの戦闘機に搭乗して撮影が行われました。
これはアメリカ海軍の全面的な協力によって実現しており、映画のリアリティを支える重要な要素となっています。
俳優たちは事前に数か月間の訓練を受け、飛行中に発生する高G(重力加速度)に耐える技術や、機内での演技に対応できる準備をしてから撮影に臨みました。実際の空中シーンでは、F/A-18の後部座席に搭乗し、前方の座席をプロのパイロットが操縦することで、リアルな表情や動きが映像として記録されました。
一方で、敵役の第五世代戦闘機(Su-57をモデルとした機体)は、現実にはアメリカ側が保有していないため、CGや模型で再現されています。また、クライマックスで登場するF-14トムキャットも、すでにアメリカ海軍から退役しているため、飛行可能な実機は存在しません。
映画では博物館に展示されていたF-14を借りて地上シーンを撮影し、空中戦の場面はCGで補完されています。
つまり、『トップガン マーヴェリック』に登場する戦闘機は「すべてが本物」ではありません。
スーパーホーネットやP-51マスタング(トム・クルーズの私物機体)は実機を使用しつつ、敵機や退役機など再現が困難な機体についてはCG技術が活用されています。こうした実機とCGの巧みな融合が、迫力ある映像を可能にしているのです。
参考資料:Home – Navy.mil
第5世代最強の戦闘機は?

多くの専門家が「第5世代戦闘機の中で最強」と評価しているのは、アメリカ空軍のF-22ラプターです。これは空中戦に特化して設計された世界初の第5世代戦闘機であり、極めて高いステルス性能と、優れた機動性、そしてスーパークルーズ(アフターバーナーを使用せずに超音速で巡航可能)といった独自の特徴を持っています。
F-22の強みは、他機よりも早く敵を発見し、先に攻撃できるという「先制能力」にあります。
搭載されているAESAレーダーは広範囲を高精度で探知でき、敵に気づかれる前に攻撃態勢を整えることが可能です。さらに、推力偏向ノズルによって従来機では不可能だった高機動飛行が実現し、格闘戦でも優位に立てる設計になっています。
一方で、いくつかの制限も存在します。まず、F-22の生産はすでに終了しており、新たな導入はできません。また、その高性能ゆえに1機あたりの製造コストと維持費が非常に高く、運用国はアメリカに限られています。輸出も禁じられているため、他国のパイロットがこの機体に乗ることはありません。
このように、F-22ラプターは「最強」と言えるほどの空戦能力を持つ戦闘機ですが、万能ではなく、運用の柔軟性や多用途性という面ではF-35の方が評価されることもあります。
したがって、空戦性能において最強という意味ではF-22が群を抜いているものの、用途によってはF-35や他の第5世代機に軍配が上がる場面もあるのが現状です。
参考資料:米空軍公式サイト
トップガンでF-35が使えない理由

『トップガン マーヴェリック』にF-35が登場しない理由は、大きく分けて物語上の設定と現実の撮影事情によるものです。F-35はアメリカが誇る最新鋭の第5世代戦闘機であり、高いステルス性能や多用途性を備えていますが、劇中では使用されていません。
主な理由は以下のとおりです。
劇中設定による制約:
- 敵基地周辺には強力なGPSジャミング装置が存在する設定
- F-35の得意とするGPS誘導兵器が使えない状況
- ミッションではレーザー誘導爆弾が必要となる
- 映画内では、F/A-18E/Fの方がその兵装運用に熟練しているという設定になっている
撮影上の制約:
- F-35は単座(1人乗り)のため、俳優が搭乗しての撮影が困難
- 映画のリアリティを高めるため、実機に俳優が搭乗し撮影する方式を採用
- F/A-18F(複座型)であれば、前席にパイロット、後席に俳優を乗せてリアルな映像を撮影可能
その他の事情:
- F-35はアメリカ海軍でも比較的新しい機体であり、運用に関する制約が多い
- 撮影協力のハードルが高く、実機の貸出などが難しかった可能性がある
これらの理由から、F-35は登場しませんでしたが、これは機体の能力に問題があったわけではありません。むしろ、ミッションの条件やリアルな空撮を重視した演出上の判断といえます。
結果的に、F-35はその性能の高さにもかかわらず、『トップガン マーヴェリック』の映像表現や作戦設定には適さなかったというのが結論です。
第五世代戦闘機とトップガンの注目ポイント

- トップガンの戦闘機一覧と登場機体
- F-14は第何世代の戦闘機か
- トップガンにF-16はなぜ登場しないのか
- トップガンの戦闘機とF-15との関連性
- F15とF-18の違いは何ですか?
- 第五世代戦闘機の避け方と現実性
- トップガンが描く空戦のリアリティ
トップガンの戦闘機一覧と登場機体
機体名 | 機体分類 | 特徴・役割 |
---|---|---|
F/A-18E/F スーパーホーネット | 現用艦載多用途戦闘機 | アメリカ海軍の主力機。空対空、対地攻撃、電子戦など多目的に活躍 |
F-14 トムキャット | 退役艦載戦闘機(第4世代) | クライマックスで登場。可変翼と高速性能が特徴 |
Su-57 モデルの敵機 | 架空の第5世代戦闘機 | ステルス性と超機動性に優れ、劇中の脅威として描かれる |
ダークスター(Darkstar) | 架空の極超音速実験機 | マッハ10を目指す極限のスピード機。冒頭シーンに登場 |
P-51D マスタング | 第二次大戦期のレシプロ戦闘機 | トム・クルーズ私物機。ラストシーンを美しく締めくくる |
『トップガン マーヴェリック』には、アメリカ海軍を代表する戦闘機から、敵役として描かれる架空の高性能機体まで、さまざまな航空機が登場します。ここでは、劇中に登場する代表的な戦闘機を整理し、それぞれの特徴も紹介します。
まず主役機として最も多くの出番を与えられているのが「F/A-18E/F スーパーホーネット」です。これは現在アメリカ海軍の主力艦載戦闘攻撃機であり、空対空戦闘だけでなく、対地攻撃、電子戦など多目的に活躍できることが特長です。
劇中では1人乗りのF/A-18E型と、2人乗りのF/A-18F型が使用されており、訓練や実戦ミッションの両方で活躍します。

次に、クライマックスでサプライズ登場する「F-14 トムキャット」も見逃せません。前作『トップガン』で主役機だったこの機体は、すでにアメリカ海軍では退役済みですが、本作では敵基地から奪って脱出するシーンで重要な役割を果たします。
マッハ2を超える速度と可変翼構造を備えたこの戦闘機は、空戦ファンにとって特別な存在です。
また、敵国の最新鋭機として登場する「第5世代戦闘機」は、ロシアのSu-57をモデルにした架空機体です。劇中では、圧倒的なステルス性と超機動性を誇り、F/A-18やF-14では太刀打ちできないほどの脅威として描かれます。演出上はSu-57に酷似していますが、細部は異なっており、実際にはCGで再現されています。

さらに、物語冒頭には「ダークスター(Darkstar)」と呼ばれる架空の極超音速実験機が登場します。この機体は、アメリカ空軍とロッキード・マーティン社が開発していると言われるSR-72を参考にしており、マッハ10を目指すという設定でスピードの限界に挑む場面が印象的です。

そのほか、トム・クルーズ自身が所有する「P-51D マスタング」も登場。これは第二次世界大戦期の戦闘機で、映画のラストシーンを美しく締めくくる存在となっています。
このように、『トップガン マーヴェリック』では旧世代から最新鋭機まで幅広い戦闘機が登場し、それぞれが異なる役割を持ってストーリーを支えています。航空機の進化とその魅力を知るには、非常に優れた作品と言えるでしょう。
F-14は第何世代の戦闘機か

F-14 トムキャットは「第4世代戦闘機」に分類される機体です。これは1970年代初頭にアメリカ海軍で運用が始まった艦載戦闘機であり、F-4ファントムIIの後継として設計されました。当時としては非常に革新的な性能を持っており、特に可変後退翼や高性能なレーダー、長射程ミサイルの搭載能力などが特徴でした。
第4世代戦闘機の定義は明確な国際基準があるわけではありませんが、概ね1970年代から1990年代初頭にかけて登場した戦闘機が該当します。その特徴としては、高速・高機動であること、複数任務に対応可能であること、アビオニクス(電子機器)の発展などが挙げられます。
F-14はこれらをすべて備えており、まさに第4世代を代表する機体の一つとされているからです。
ただし、F-14にはいくつかの課題もありました。可変翼構造は優れた飛行性能を可能にする一方で、整備に手間がかかり、運用コストが高くつ点などです。また、老朽化が進んだことや、より多用途で整備性に優れたF/A-18E/Fスーパーホーネットの登場により、2006年にはアメリカ海軍から退役しました。
とはいえ、F-14はその独特のデザインと高い戦闘能力から、多くの航空ファンに今でも支持されています。映画『トップガン』での主役機としての存在感もあって、その人気は今なお健在です。
トップガンにF-16はなぜ登場しないのか

『トップガン』シリーズにF-16 ファイティングファルコンが登場しない理由は、主に軍の運用方針の違いによるものです。F-16は世界的にも有名なアメリカの主力戦闘機ですが、映画の設定上、登場しないのはごく自然なことだといえます。
主な理由は以下の通りです。
運用軍の違い:
- F-16はアメリカ空軍(U.S. Air Force)が運用する戦闘機
- 一方、『トップガン』はアメリカ海軍(U.S. Navy)のパイロット訓練を描いた物語
- 映画の世界観上、空軍機であるF-16は登場しにくい設定となっている
空母運用への不適合:
- F-16は単発エンジンであり、空母での発着艦には設計上対応していない
- 海軍では、洋上運用の安全性から双発エンジンを採用した機体(例:F/A-18)を主力としている
- F-16は陸上基地での運用に最適化されており、艦載機としては不向き
機体としての評価は高い:
- アメリカ空軍では長年にわたって多様な任務に使用されてきた実績がある
- 優れた機動性とコストパフォーマンスを誇り、海外の多くの空軍にも採用されている
- ただし、海軍が導入していないため、『トップガン』には登場しないだけである
このように、F-16が登場しないのは演出的な都合ではなく、映画のリアリティと整合性を重視した結果といえます。軍種によって採用される戦闘機が異なるという前提を理解しておくと、作品をより深く楽しめるでしょう。
トップガンの戦闘機とF-15との関連性

比較項目 | F-15 イーグル | F-14 トムキャット / F/A-18E/F スーパーホーネット |
---|---|---|
運用組織 | アメリカ空軍 | アメリカ海軍 |
登場作品 | 非登場(映画には未登場) | 『トップガン』シリーズに登場 |
世代区分 | 第4世代戦闘機 | F-14は第4世代 / F/A-18は第4.5世代 |
最高速度 | マッハ2.5以上 | F-14:約マッハ2.3 / F/A-18:約マッハ1.8 |
主な任務 | 制空戦闘に特化 | 多目的(制空・対地・電子戦など) |
艦載運用の可否 | 不可(艦載機ではない) | 可能(艦載機として設計) |
初飛行年 | 1972年 | F-14は1970年 / F/A-18は1995年以降 |
多用途性 | 低い(空対空に特化) | 高い(マルチロール機) |
映画内での存在感 | 間接的な比較対象 | 中心的な存在 |
空対空戦能力 | 非常に高い | 高い |
『トップガン』シリーズに登場する戦闘機とF-15イーグルには、直接的な関連性はありません。F-15はアメリカ空軍が運用している戦闘機であり、映画『トップガン』の舞台であるアメリカ海軍とは所属組織が異なります。このため、映画本編でF-15が登場することはなく、ストーリー上でも関わりは持たれていません。
ただし、機体性能や世代的な位置づけという観点では、F-15と『トップガン』に登場する戦闘機との間に比較対象としての関係性はあります。例えば、前作『トップガン』(1986年)で主役を務めたF-14トムキャットも、F-15と同じ第4世代の戦闘機です。
どちらも1970年代に登場し、高速性能やレーダー火器管制システム、長距離空対空ミサイルの運用能力を備えた機体であり、冷戦期におけるアメリカの制空戦力を支えた存在です。
一方、続編『トップガン マーヴェリック』では、F/A-18E/Fスーパーホーネットが主役機となっています。こちらはF-15よりも後に登場した第4.5世代にあたる多用途戦闘機であり、空対空・空対地・電子戦といった任務を1機でこなせる設計が特徴です。
F-15と比べて最高速度や上昇力ではやや劣りますが、艦載運用が可能であり、空母からの発着艦にも対応している点が大きな違いです。
したがって、『トップガン』とF-15には組織的な関連はありませんが、同世代または近い時期に開発されたアメリカの主力戦闘機として、機体性能や戦術思想の比較対象として見ることは可能です。
航空ファンの間でも、F-15とF-14のどちらが優れているかという議論が行われてきました。映画内での共演はありませんが、それぞれの立場でアメリカ軍の制空能力を担ってきた点において、歴史的には密接な存在とも言えます。
F15とF-18の違いは何ですか?
F-15イーグルとF/A-18スーパーホーネットは、どちらもアメリカを代表する戦闘機ですが、運用する軍種や設計目的が大きく異なります。まず最も基本的な違いは、F-15はアメリカ空軍が運用する制空戦闘機であるのに対し、F/A-18はアメリカ海軍と海兵隊が運用する多用途艦載機という点です。
F-15は空中戦に特化して開発されており、最高速度はマッハ2.5以上、上昇力や加速性能に優れています。特に制空任務や敵航空機の撃破に重きを置いて設計されているため、高高度でのドッグファイトや制空権の確保を主な任務としています。その一方で、海上での運用には対応しておらず、空母での発着艦はできません。
これに対し、F/A-18は艦載運用を前提とした設計になっており、空母のカタパルトで発艦し、アレスティングフックを使って着艦する能力を持ちます。機体の構造も頑丈で、繰り返しの発着艦に耐える仕様です。
最高速度はマッハ1.8程度とF-15よりは劣りますが、その分、空対地・空対艦・電子戦など多様な任務をこなすマルチロール性が大きな強みです。
また、航続距離においてもF-15は長距離飛行に適しており、戦域を越えての長時間作戦が可能ですが、F/A-18は空母を拠点とする短・中距離作戦が主となります。このように、両機の性能は一部重なる部分もありますが、目的や運用環境に応じた最適化がされており、単純な性能比較では優劣を語れない部分があるのです。
つまり、F-15は「空中戦のスペシャリスト」、F/A-18は「柔軟に任務をこなす万能型」といった性格の違いがあり、アメリカ軍全体の航空戦力を補完し合う存在となっています。
第五世代戦闘機の避け方と現実性

『トップガン マーヴェリック』に登場する第五世代戦闘機は、まるで木の葉のように舞いながらミサイルを回避する驚異的な機動を見せます。このような描写には、現実の空戦技術にヒントを得た要素もありますが、映像表現としての誇張も含まれているのが実際のところです。
劇中で描かれる急激な姿勢変化や急減速といった動きは、実際には「クルビット機動」や「コブラ機動」と呼ばれる超機動マニューバを参考にしています。これらは、機体の推力偏向ノズルや高度な飛行制御システムを活用して、通常の航空力学では不可能なほど急な姿勢変化を行う技術です。
ロシアのSu-57やSu-35、アメリカのF-22ラプターなど一部の機体は、こうしたマニューバを実際のデモ飛行で成功させています。
ただし、これを実戦でミサイル回避に使用するのは現実的ではありません。ミサイルの速度はマッハ3以上に達し、最新の誘導技術も高度化しているため、物理的にかわすのは極めて困難です。
さらに、急激な機動を行うと機体が一時的に失速状態に入りやすく、操縦ミスや敵機への隙を生むリスクも高くなります。加えて、パイロットには非常に大きなG(重力加速度)がかかるため、短時間しか行えないという制限もあります。
このように、第五世代戦闘機が超機動によってミサイルを回避するという描写は、技術的な裏付けがある一方で、実戦での有効性は限定的です。映画では観客に迫力を伝えるためにこうした演出が強調されていますが、現実の戦闘ではむしろ電子戦装備や妨害電波、フレアなどの防御装置によって回避するのが一般的と言えます。
つまり、第五世代戦闘機の「避け方」は現実に存在する機動技術をベースとしつつも、映像的な演出が加えられていると考えるのが妥当なのです。
トップガンが描く空戦のリアリティ

『トップガン』シリーズは、空戦をテーマにした映画の中でもリアリティの高さに定評がある作品です。特に『トップガン マーヴェリック』では、実際の戦闘機に俳優が乗り込み、空中で撮影されたシーンが多く使われており、CGに頼りすぎないリアルな映像体験が実現されています。
撮影に使用されたのは、アメリカ海軍が実際に運用しているF/A-18E/Fスーパーホーネットです。俳優たちはプロのパイロットが操縦する機体の後部座席に乗り、本物の空撮映像を収録しました。カメラも特別にコックピット内に設置され、俳優たちの表情や動きがGのかかる状態で記録されています。
このような工夫によって、観客はパイロットの視点からリアルな空戦を疑似体験できるようになっているのです。
一方で、全てが現実的というわけではありません。例えば、ミサイルの回避方法や敵機との近接戦闘の演出には、映画ならではの誇張が含まれています。
現代の空戦は、実際には中距離〜長距離でのミサイル戦が主流であり、映画のように視界内での格闘戦(ドッグファイト)が頻繁に行われるわけではありません。また、敵機のステルス性能やAI支援の描写についても、現実の技術より一歩先を行く設定が見られます。
とはいえ、実機の使用や戦術的な説明、操縦時の動きに至るまで、基本的な軍事的背景は正確に表現されています。その上でドラマ性やアクションの迫力を高めるため、演出が適度に加えられている点が、『トップガン』シリーズの魅力と言えるでしょう。
このように、映画は完全なリアルではないものの、軍事考証や空戦描写においては極めて高いレベルで作られており、リアリティとエンタメのバランスが取れた作品となっています。
第五世代戦闘機とトップガンの要点まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 敵機のモデルはロシアの第五世代戦闘機Su-57をベースにした架空の機体
- 映画内で敵機の正式名称や国名は明かされていない
- Su-57の特徴である超機動性やステルス性が描写されている
- 敵機に「日の丸」が描かれているという説は誤解
- 敵国のシンボルは赤い円と鳥のようなマークが使われている
- 特定の国を示さない演出が映画全体に徹底されている
- 主人公機のF/A-18E/Fは実機を使用し、俳優が搭乗して撮影された
- 高G環境での演技のために俳優は事前訓練を受けている
- 敵機やF-14など実機が使えない場面はCGで再現されている
- F-22ラプターは空中戦で最強と評価される第五世代戦闘機
- F-22は高性能だがコストや輸出制限に課題がある
- F-35が登場しないのは劇中設定と撮影条件の制約による
- トップガンではF/A-18、F-14、P-51など複数の機体が登場
- F-14は第4世代に属し、可変翼や高速性能が特徴
- F-16が登場しないのは空軍機であり海軍映画には不適合だから
最後までお読みいただきありがとうございました。
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