高松空港の着陸が難しいのはなぜか？ILS性能や霧の問題を徹底解説

2025年5月25日

「高松空港の着陸が難しい」と感じたことがある方、または検索してこの記事にたどり着いた方は少なくないかもしれません。実際、高松空港は天候や立地などの要因により、全国的にも着陸の難易度が高い空港の一つとして知られているからです。

特に霧の時期となる春から初夏にかけては視界不良の頻度が高まり、欠航率も他空港に比べてやや上がる傾向があります。

この記事では、「着陸が難しい空港日本ランキング」の中で高松空港がどのような位置付けにあるのか、日本で1番着陸が難しい空港はどこかといった話題にも触れながら、高松空港が抱える課題をわかりやすく解説します。

また、「高松空港の年間旅客数は？」という疑問をはじめ、高松空港から羽田空港まで何分かかるのか、成田空港まで何時間かかるのかといった基本情報も押さえておきました。さらに、「高松空港北海道直行便」に関する最新の運航状況についても解説し、旅行や出張を予定している方にとって実用的な情報をお届けします。

高松空港を安全かつスムーズに利用するために、ぜひ本記事を参考にしてください。

参考資料：「空港管理状況」国土交通省

この記事を読んでわかること

高松空港が着陸しにくい理由と地形・気象の関係
欠航率が全国平均より高くなる背景
ILS（計器着陸装置）の性能と導入状況
北海道直行便や羽田・成田への所要時間など基本情報

高松空港の着陸が難しい理由とは？

旅客機を背景に、照れ笑いをするレトリバーのパイロット — ボクのヒコーキ・イメージ

高松空港はなぜ霧が多いのか？
高松空港のILS性能とその課題
高松空港の欠航率は全国平均より高い？
高松空港の年間旅客数は？
高松空港の霧が多い時期とは？

高松空港はなぜ霧が多いのか？

高松空港が霧の影響を受けやすいのは、立地と気象条件が密接に関係しています。香川県の南部にある高松空港は、標高185メートルの高台に位置しており、周囲に山や谷が広がる内陸部の環境です。このような地形では、昼夜の気温差によって地表近くに湿気が溜まりやすく、空気が冷えることで濃霧が発生しやすくなります。

特に、春先から梅雨明けまでの期間（3月〜7月上旬）は、霧が出る頻度が高くなります。この時期は、気温が上がり始める一方で、朝晩はまだ冷え込みやすいため、放射冷却によって視界が急激に悪化するケースが多いのです。さらに、夏の湿った空気や停滞前線の影響を受けると、視程が100メートルを切るような濃霧になることもあります。

加えて、空港の滑走路東側が急峻な谷になっていることも霧の滞留を助長する要因の一つです。空気の流れが滞ると、霧がなかなか晴れず、離着陸に支障をきたすことがあります。

このように、高松空港は立地条件と気象の特性が重なって、他の空港と比べても霧の影響を非常に受けやすい空港だといえます。その結果として、天候が原因で着陸できないケースや、欠航・引き返しなどの対応が求められることが少なくありません。

高松空港のILS性能とその課題

現在、高松空港に導入されているILS（計器着陸装置）は「カテゴリーⅠ（CAT I）」と呼ばれるもので、視界が一定以上あることを前提に設計されたシステムです。これは、視界が最低でも800メートル以上の条件で着陸支援が行われ、地方空港や利用者数の少ない空港を中心に採用されています。

ただし、この性能では濃霧や激しい雨などで視界が悪い状況で着陸できる確率が著しく低下します。つまり、安全のために着陸をあきらめて引き返す判断が下される場面が増えてしまうのです。

一方で、羽田空港や関西国際空港のような主要ハブ空港では、より高性能な「カテゴリーⅢ（CAT III）」のILSが導入されており、視界が非常に悪い場合でも自動操縦による着陸が可能となっています。こうした空港と比べると、高松空港の現在のILS性能は見劣りし、天候リスクに対して十分な対応ができていないと評価されるのです。

香川県や国土交通省もこの課題を認識しており、2025年度には高性能ILS導入に向けた調査が始まりました。整備が実現すれば、濃霧などの悪天候時にも着陸できる可能性が大きく向上し、欠航や引き返しのリスクを低減することが期待されています。

ただし、滑走路周辺の地形的な制約やコストの問題もあり、すぐに整備が完了するわけではありません。現在はあくまで調査段階であり、正式な導入決定と運用開始には数年を要する見通しです。現時点では「ILSの性能が不十分であること」が、高松空港の着陸を難しくしている大きな要因の一つとなっています。

高松空港の欠航率は全国平均より高い？

高松空港の欠航率は、全国の平均と比べてやや高めと考えられています。国土交通省が公開している2022年4月〜6月の国内線全体の平均欠航率は0.54%ですが、この数値はあくまで全空港・全路線を対象とした平均値です。

高松空港単体の欠航率は公式には明記されていませんが、複数の資料や報道から判断すると、視界不良や霧などの影響による欠航や引き返しは、直近10年間で年平均16便発生していることがわかっています。

例えば、令和5年度には視界不良が原因で合計13便が引き返しや着陸変更の対応を余儀なくされたという記録が。また、2017年度のように濃霧の影響で96便が引き返しや着陸変更した年もあり、天候によって欠航数が大きく変動する点も特徴です。

これを踏まえると、高松空港の欠航率は平均的な空港よりも高くなる傾向にあると推測されるのです。特に、霧が発生しやすい春から初夏にかけては欠航リスクが上がり、最終便などでは宿泊や翌日の予定に大きな影響を与える可能性があります。

さらに、現行のILSがCAT Iであることも欠航リスクを高める一因です。視界が少しでも基準を下回ると、安全のために着陸できず、引き返しを余儀なくされるためです。これがもし、CAT III相当のILSが導入されれば、年間を通じて欠航や引き返しが大幅に減る可能性があります。

このように、高松空港の欠航率は季節や設備によって変動しやすく、全国平均よりも高めの水準にあると考えるのが妥当です。天候リスクを十分に認識した上で、利用計画を立てる必要があります。

高松空港の年間旅客数は？

高松空港の年間旅客数は、近年大きく増加しており、2024年度には211万人を超えて過去最多を記録しました。これは、国内外の航空需要の回復と、インバウンド観光客の増加が主な要因とされています。

具体的には、国内線の利用者が約162万人、国際線の利用者が約49万人となっており、国際線の回復が顕著です。特に、韓国・ソウル線の利用者が前年比で約54％増加するなど、海外からの訪問客が急増しています。また、台湾や中国本土からの便も堅調に推移しており、国際線全体では前年度比90％以上の増加という結果になりました。

一方、国内線に目を向けると、羽田線が最も多く利用され、全体の半数以上を占めています。次いで成田線、那覇線が続いており、いずれの路線も前年を上回る利用者数を記録。羽田線の平均搭乗率は約72%、成田線は約86%と、利用効率も比較的高い傾向にあります。

なお、空港の運営体制も民営化以降に大きく改善され、施設の増改築や新路線の誘致にも積極的です。特に国際線ターミナルは、利用者数の増加に対応するため再拡張工事が進行中で、今後さらなる旅客数の増加が見込まれます。

このように、近年の高松空港は、地方空港でありながらも着実に利用者を増やしており、四国の空の玄関口としての役割を強化し続けているのです。

参考資料：「高松空港」国土交通省大阪航空局

高松空港の霧が多い時期とは？

高松空港で霧が多く発生するのは、主に春から初夏にかけての季節です。具体的には3月から7月上旬にかけてが最も注意が必要な期間とされています。この時期は朝晩の気温差が大きくなるため、放射冷却によって地表付近の空気が冷やされ、湿度が高まると霧が発生しやすくなるのです。

また、高松空港は標高185メートルの高台にあり、滑走路の周辺に谷や丘陵が広がっています。こうした地形は湿気が溜まりやすく、気流の流れを遮るため、一度霧が出ると長時間残る傾向が。視程が100メートル以下になるような濃霧も珍しくなく、着陸に影響を与えることも珍しくありません。

一方で、秋から冬にかけての時期にも、特定の気象条件が揃えば霧が発生することはあります。ただし、春から初夏に比べると頻度は低く、運航への影響は限定的です。気象データや過去の欠航便数から見ても、3〜6月が最もリスクが高いシーズンといえるでしょう。

このため、高松空港を利用する際は、特に春の早朝便や夜間便に注意が必要です。視界不良によって着陸できない場合、出発地への引き返しや他空港への着陸変更が発生することもあります。あらかじめ予備のスケジュールを立てたり、天候情報を確認しておくことで、突然のトラブルに備えましょう。

【高松空港】着陸が難しい空港の特徴

着陸が難しい空港の日本ランキング
日本で1番着陸が難しい空港はどこか
高松空港から羽田空港まで何分かかる？
高松空港から成田空港まで何時間？
【高松空港-北海道】直行便はある？
高松空港の今後の対策と改善見通し

着陸が難しい空港の日本ランキング

日本には地形や気象条件、設備の制約などによって「着陸が難しい」とされる空港がいくつか存在します。これらの空港は、航空関係者や専門家の証言、報道資料などをもとに難易度が評価されており、ランキングとして紹介されることも。代表的なランキングの上位には、以下のような空港が挙げられています。

第1位：八丈島空港
国内唯一の「D空港」に指定される難関空港。滑走路の両側には700〜850メートル級の山が迫り、強い横風や濃霧による視界不良が頻発。着陸の難しさは国内随一とされています。

第2位：松本空港
標高657メートルという国内最高所に位置し、周囲を3000メートル級の山々が取り囲む地形が進入ルートを制限。ILS（計器着陸装置）の設置が難しく、操縦には高度な技術が要求されます。

第3位：広島空港
起伏のある地形内に立地し、進入灯が橋のように滑走路へ接続されている構造が特徴。進入角度の調整が難しく、特に悪天候時には着陸難度が高くなります。

その他：鹿児島空港・福島空港
いずれも高地や山間部に位置しており、視界不良や風の影響を受けやすいため、着陸には注意を要する空港として知られています。

このようなランキングはあくまで目安ではありますが、飛行機利用者にとって、各空港の気象や地形の特徴を把握しておくことは、フライトスケジュールへの理解や備えに役立つ情報となります。

日本で1番着陸が難しい空港はどこか

日本国内で「最も着陸が難しい空港」として広く認識されているのは、東京都にある八丈島空港です。この空港は、離着陸の難易度を示す「飛行場区分」で国内唯一の“D空港”に指定されており、航空業界でも特別な存在として知られています。

八丈島空港の最大の特徴は、その地形にあります。滑走路の北側には標高854メートルの八丈富士、南側には約700メートルの八丈三原山が位置しており、空港がその間に挟まれた形で存在していることです。このような地形では、風が山から吹き下ろす際に気流が不規則になり、乱気流や強風が発生しやすくなります。

加えて、梅雨の時期や湿度の高い日は濃霧が発生しやすく、視界不良によって着陸が制限されることも頻繁にあります。特に視程が一定以下になると、航空機は滑走路を目視できず、着陸を断念して出発地に引き返す「ゴーアラウンド」になるのです。

こうした背景から、八丈島空港ではパイロットに高度な操縦スキルと判断力が求められます。条件付き運航が多く、着陸できずに戻ってくる便が他の空港に比べて多いのも、この空港の大きな特徴です。

他にも着陸が難しいとされる空港は存在しますが、公式な区分やパイロットからの証言を踏まえると、八丈島空港が「日本一着陸が難しい空港」と言えるでしょう。

高松空港から羽田空港まで何分かかる？

高松空港から羽田空港までの飛行時間は、通常おおよそ1時間15分から1時間25分程度です。これは直行便を利用した場合の所要時間であり、風向きや気象条件、空路の混雑状況によって若干前後します。

具体的な便で言えば、たとえばANAの朝の便（ANA532便）は高松空港を7:05に出発し、羽田空港に8:25に到着するスケジュールで設定されています。一方、JALの同時間帯の便（JAL474便）は7:10発、8:25着とされており、所要時間はおおむね1時間15分から1時間20分前後です。

ただし、飛行時間だけではなく、空港における手続き時間も加味する必要があります。出発前には保安検査や搭乗手続きに約1時間程度、到着後は荷物の受け取りや移動などに30分程度を見込んでおくと安心です。これらを合計すると、高松空港から羽田空港へのトータルの移動時間は約3時間20分前後を見込んでおくとよいでしょう。

また、注意点としては、春や秋の霧が発生しやすい時期には高松空港での離陸が遅れる場合や、羽田空港の混雑状況によって着陸待機が発生することもあります。いずれにしても、余裕を持ったスケジュールで移動を計画することが大切です。

高松空港から成田空港まで何時間？

高松空港から成田空港までの所要時間は、直行便を利用する場合、平均して約1時間25分です。ジェットスター・ジャパン（JJP）がこの区間に直行便を運航しており、1日に複数便が設定されています。例えば、午前9時30分発の便は10時55分に成田空港に到着し、午後4時10分発の便は午後5時35分の到着です。 (ソラハピ, NAVITIME)

このように、所要時間は便によって若干異なりますが、概ね1時間25分程度と考えておくと良いでしょう。ただし、天候や航空会社の運航状況によっては遅延が発生する可能性もありますので、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。

【高松空港-北海道】直行便はある？

広大な草原を背景に、「ようこそ」と書かれたのぼりを掲げる、北海道のゆるキャラ — ボクのヒコーキ・イメージ

現在、高松空港から北海道（新千歳空港）への定期直行便は運航されていません。そのため、北海道へ向かう場合は、東京（羽田または成田）や大阪（伊丹または関西）などの主要空港を経由する乗継便を利用する必要があります。例えば、高松空港から羽田空港を経由して新千歳空港へ向かうルートが一般的です。 (スカイスキャナー)

ただし、特定の時期にはチャーター便が運航されることも。例えば、2025年8月および9月には、フジドリームエアラインズ（FDA）による高松空港発着の北海道行きチャーター便が予定されています。これらのチャーター便は、主に旅行会社のツアー商品として販売されることが多いため、詳細は旅行会社の情報を確認することをおすすめします。 (高松空港｜TAKAMATSU AIRPORT)

現在、高松空港から北海道（新千歳空港）への定期直行便は運航されていません。