【ドローン係留装置】自作の費用と素材の目安/市販品の違いと選び方

飛行中のドローンとタイトル文字

ドローンを安全に運用するうえで注目されているのが「係留飛行」です。とくに市販の装置に頼らずドローン係留装置の自作を検討している方は、コストや設置方法、安全面のポイントが気になるのではないでしょうか。

この記事では、係留装置の価格の目安や、自作時に必要な道具・工夫について解説します。さらに、ドローンの紐として活用できる紐や釣り糸なども紹介。また、法律上重要な「係留は30m以内に収める理由」についても丁寧に説明しています。

市販品の選択肢としては、操作性と安全性に優れた「ドローンスパイダーのレンタル」や、物資輸送向けのドローンホイストといった製品も存在。これらと自作との違いを比較することで、あなたに最適な方法を見つける手助けとなるでしょう。

そのほかにも、「ドローンの係留にワイヤーを使うとどうなるのか」「ドローンの飛行日誌は必須なのか」といった疑問にも答えながら、ドローン係留のメリット・デメリットについても整理しています。

これから係留装置を導入したいと考えている方が、安全かつ効率的に飛行を行うための参考になれば幸いです。

この記事を読んでわかること
  • ドローン係留装置を自作する際の基本的な構造や材料
  • 自作と市販・レンタル装置の価格や性能の違い
  • 紐や釣り糸、ワイヤーなど係留に使える素材の特徴
  • 法規制や許可の緩和条件を踏まえた安全な運用方法
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目次

ドローンの係留装置 自作の基本と準備

係留飛行するドローン
「ボクのヒコーキ」イメージ
  • ドローン係留装置 価格の目安とは
  • ドローン係留 30m以内に収める理由
  • ドローン係留に紐や釣り糸は使える?
  • ドローンの係留にワイヤーを使うとどうなる?
  • ドローン係留のメリットとデメリットを整理

ドローン係留装置 価格の目安とは

ドローン係留装置の価格は、製品の種類や機能によって大きく異なります。おおまかな目安としては、市販品の場合で15万円から30万円程度が一般的です。

この価格差には、装置に備わっている機能や耐久性、安全対策の有無などが影響しています。例えば、自動で紐のテンションを調整できる機能や、バッテリー駆動でどこでも使える設計などがある装置は、高額になりやすい傾向です。

ドローンスパイダー DS-005PRO/S:空撮技研公式サイトより引用

具体的な例を挙げると、空撮技研の「ドローンスパイダー DS-005PRO/S」は約15万円台で販売されており、テンション調整機能付きのモデルです。これに対して、釣り用電動リールを転用して自作した場合は、部品代だけで5万円〜10万円程度に抑えられることもあります。

ただし、自作の場合は安全性や操作性に不安が残るため、初心者にはおすすめできません。

一方で、ドローン係留装置はレンタルでの利用も可能です。1日あたり7,000円〜10,000円前後で借りられることが多く、短期利用やテスト飛行には経済的な選択肢となるでしょう。

このように、使用目的や予算、操作スキルによって、購入・自作・レンタルといった選択肢を検討することが重要です。


ドローン係留 30m以内に収める理由

30mのリードにつながれているレトリバー
「ボクのヒコーキ」イメージ

ドローンを係留して飛行させる際、紐やワイヤーの長さを30m以内に制限する必要があるのは、航空法の規定に基づくものです。

この長さ制限を守ることで、一部の特定飛行(夜間飛行や目視外飛行、人口集中地での飛行など)に関して、国土交通省への許可申請が不要になるというメリットがあります。つまり、安全性を確保しつつ、事務手続きの負担を軽減できるのです。

例えば、イベント会場や都市部での点検作業などでは、許可申請の手間が業務効率に大きく影響します。そのような現場でも、30m以内の係留であれば、比較的スムーズな飛行が可能です。

また、30mを超える紐を使用すると、風にあおられての衝突や、障害物への接触リスクが増えるという実用面でのデメリットもあります。これにより、ドローンが予期せぬ方向へ引っ張られたり、紐が周囲に絡まったりする危険性も否定できません。

前述の通り、安全確保と法令遵守の両面から、係留時の紐の長さは「30m以内」とすることが強く推奨されているのです。

参考資料:「無人航空機の飛行許可・承認手続」国土交通省

ドローン係留に紐や釣り糸は使える?

ドローンをつないで操縦するレトリバー
「ボクのヒコーキ」イメージ

ドローンの係留には、強度のある紐や釣り糸を使用することが可能です。ただし、使用する素材にはいくつかの条件を満たす必要があります。

まず、紐や釣り糸は「十分な強度を有するもの」でなければなりません。例えば、軽量のドローンであっても風の影響を受けて引っ張られることがあり、その力に耐えられる強度が求められます。特におすすめされるのは、ナイロンやポリエチレン製の釣り糸や登山用のロープなどで、機体重量の4〜5倍の引張強度を目安に選ぶと安心です。

実際、プロの空撮現場では釣り用の「道糸」や「テグス」が用いられることもあります。これは軽くて巻き取りやすく、リールとの相性も良いためです。ただし、テンション管理が難しい場合があるため、緩みやすい環境では注意が必要です。

一方で、細すぎる釣り糸を使うと、風に流されてドローンのプロペラに絡まる危険があります。また、耐久性が不足していると、飛行中に切れてしまうリスクもあるため、実際に使用する前に十分なテストが不可欠です。

このように、紐や釣り糸は素材と強度を見極めた上で、安全な設計で利用することが求められます。安易な選定は事故の原因となるため、専門的な知識がない場合は市販の係留装置を検討するのも一つの方法です。


ドローンの係留にワイヤーを使うとどうなる?

両手でワイヤーを伸ばして不気味な笑みをうかべる男性
「ボクのヒコーキ」イメージ

ワイヤーを使ってドローンを係留することには、利点とリスクの両方があります。使用を検討する際は、それぞれの特徴をしっかりと理解しておくことが大切です。

まず、ワイヤーは伸縮性が少なく、安定した飛行をサポートできる点が強み。特に、強風下でもたるみにくいため、飛行中の姿勢が乱れにくいという特長があります。また、耐久性にも優れており、強風や機体の急な動きによっても切れにくい素材です。

一方で、ワイヤーには重量があります。ドローン本体に過度な負担をかける場合、バランスを崩す原因にもなりかねません。また、たとえ軽量化されたワイヤーであっても、機体との間にテンションがかかりすぎると、操作に支障が出ることもあります。

さらに注意したいのが、ワイヤーが障害物に接触した場合のリスクです。地形や建物によっては、ワイヤーが引っかかることもあるため、飛行エリアの選定が非常に重要です。

こうした点から、ワイヤーを使用する際は「適切な長さ」「テンションの調整機能」「巻き取りの安定性」など、装置全体の設計も含めた対策が必要になります。

つまり、ワイヤーの使用は安全性と引き換えに、運用技術や環境への配慮が求められる方法です。経験が浅いユーザーには、テンション管理がしやすい専用装置を活用するのが現実的といえるでしょう。

ドローン係留のメリットとデメリットを整理

ドローンを持って人差し指を立てる笑顔の女性
「ボクのヒコーキ」イメージ

ドローンを係留して飛行させる方法には、いくつかの明確な利点があります。しかし、同時に見落とされがちな注意点も存在。ここでは、メリットとデメリットの両面を整理してみましょう。

区分内容
メリット
安全性の向上紐やワイヤーで係留することで、突風や操縦ミスによる飛行リスクが抑えられ、被害の可能性が低下する。
許可の簡略化係留+立入管理措置により、夜間飛行・目視外飛行・人口密集地での飛行などが許可なしで可能な場合がある。
コスト削減一部飛行許可が不要となることで、申請手続きや準備にかかる時間・コストを削減できる。
デメリット
飛行範囲の制限紐やワイヤーの長さ(最大30m)により、ドローンの移動範囲が限定され、広範囲での作業には不向き。
操作の難しさ紐が風に煽られたり、構造物に引っかかったりすることで、飛行が不安定になり、バランスを崩して墜落のリスクが高まる。

まず、係留の最大のメリットは飛行の安全性が高まること。ドローンと地上の固定点を紐やワイヤーでつなぐことで、突風や操縦ミスによって機体が遠くに飛んで行ってしまうリスクを抑えられます。また、万が一制御不能に陥っても、一定の範囲内でしか移動しないため、人的・物的被害の可能性が低下するでしょう。

次に、飛行許可の一部が不要になる点も見逃せません。係留飛行かつ立入管理措置を講じた場合には、夜間飛行や目視外飛行、人口密集地での飛行など、通常であれば申請が必要なケースでも、許可なしで運用できる場合が多いのです。これにより、手続きや準備にかかる時間とコストの削減が可能となります。

一方で、デメリットも存在。移動範囲が制限されるのはその最たる例です。紐やワイヤーの長さ(最大30m)によって、ドローンが自由に飛行できる範囲が限定されるため、広域の点検や探索には適していません。

さらに、操作時の技術的な難しさにも注意が必要です。例えば、紐が風に煽られたり、構造物に引っかかってしまったりすることで、飛行が不安定になる可能性が高いのです。適切なテンション管理ができていないと、ドローンのバランスが崩れ、墜落のリスクも増大。

このように、ドローンの係留には明確な利点がある一方で、使い方や環境によっては新たなリスクを生むこともあるでしょう。安全と利便性のバランスを取りながら、用途に応じて適切に活用することが肝心です。

ドローンの係留装置 自作よりレンタル 役立つ製品と制度

ドローンを背景に、あごに手を当てて考える女性
「ボクのヒコーキ」イメージ
  • ドローンスパイダーはレンタルで代用できる?
  • ドローンホイストの用途と特徴
  • ドローンの飛行日誌は必須ですか?
  • 係留装置に関する許可と規制の緩和
  • 自作より市販の装置が優れている理由

ドローンスパイダーはレンタルで代用できる?

ドローンスパイダーは、ドローン係留装置の中でも安全性と操作性に優れた製品です。この装置をレンタルで利用することは十分可能であり、コスト面や試用目的での活用に向いています。

多くのレンタルサービスでは、ドローンスパイダーを1日単位で借りることができ、料金は1日あたり約7,000円〜15,000円前後です。たとえば、空撮技研の「DS-005PRO/S」モデルは9,900円前後、「DS-006PRO」であれば約14,800円といった価格帯になっています。短期間のプロジェクトやイベント、テスト飛行などには非常に実用的です。

また、レンタルにはバッテリーや充電器、スタンドなどのオプション品がセットになっていることも多く、すぐに運用を開始できる点もメリットの一つです。購入すれば十数万円から数十万円する機器でも、必要なときだけ使えるのは大きな利点です。

ただし、レンタルには注意点も。レンタル品は機種が限定される場合があり、自作システムとの互換性がない可能性もあります。また、使用する現場に応じて、リールのスペックや紐の強度が合っているかを事前に確認しておくことが重要です。

こうしたことから、ドローンスパイダーのレンタルは「本格的な導入前に試してみたい」「一時的に必要」というケースでは非常に有効な選択肢です。購入を検討している方にとっても、まずレンタルで使用感を確かめるのは賢い方法と言えるでしょう。


ドローンホイストの用途と特徴

床に荷物を降ろすドローン
「ボクのヒコーキ」イメージ

ドローンホイストは、ドローンに取り付けた物資を地上に降ろすための装置です。着陸せずに荷物を届けられる仕組みであり、災害支援や建設現場など、特定の用途で注目を集めています。

最大の特徴は、地上に着陸しなくても荷物を昇降させられる点。これにより、狭い場所や地形が不安定なエリアでも、安全かつ迅速に物品を運ぶことが可能になりました。たとえば、災害時に孤立したエリアへの医薬品輸送、山岳地域の作業現場への部品の配送など、実用的なシーンは数多く存在するのです。

代表的な製品には「ミヤ・ドローンホイスト」などがあり、最大30kgまでの積載に対応したモデルも開発されています。電動リールの技術を応用し、スムーズな巻き上げや自動フック解除機能などを搭載。人の手を介さずに荷物を置くことができる設計も見られるようになりました。

一方で、ドローンホイストは一般的な係留装置とは用途が異なるため、紐でドローンを固定する目的には適していません。むしろ、「吊り下げて移送すること」に特化した機能であり、係留とは逆のベクトルで運用されると言えるでしょう。

また、荷物の重量やドローンのペイロード(積載可能重量)に制限があるため、使用する機体との相性も重要です。バッテリーの消費も早くなるため、運用前に飛行時間の見積もりや飛行ルートの設計も欠かせません。

このように、ドローンホイストは物流や災害対応の分野での活躍が期待される装置であり、通常の係留飛行とは異なる目的で使われます。任務に応じて適切な装置を選ぶことが、効率的かつ安全な運用につながるのです。

ドローンの飛行日誌は必須ですか?

デスクで物思いにふける若手社員

ドローンの飛行日誌は、すべての飛行で必須というわけではありません。ただし、「特定飛行」を行う場合には、法令で記録・携行・保管が義務付けられています。

特定飛行とは、たとえば人口密集地上空での飛行、夜間や目視外での飛行、第三者に30m以内で接近する飛行、物件投下などを含む飛行のことです。これらは国土交通省の許可・承認が必要であり、その飛行に対して飛行日誌の記録が求められます。

飛行日誌には、飛行の日時・場所・目的・時間・機体情報・操縦者の情報、さらには点検結果や異常があったかどうかなどを記録します。形式は紙でも電子でも構いませんが、必要項目が網羅されていることが重要です。

一方で、許可不要な通常の飛行では日誌作成の義務はありません。しかし、安全管理やトラブルの振り返り、保険申請時の証拠としても活用できるため、任意でも記録しておくのが望ましいとされています。

また、飛行日誌は飛行計画の通報とは別の扱いであり、たとえ許可が不要な係留飛行であっても、特定飛行に該当する場合は飛行日誌が必要です。こうした運用ルールを正確に理解しておくことが、トラブルの防止と信頼ある運用につながります。


係留装置に関する許可と規制の緩和

デスクで書類に記入する男性の手元

現在、ドローンを係留して飛行させる場合には、一部の飛行ルールが緩和される特例措置が認められています。これは、国土交通省による航空法の一部改正によって実現した制度です。

この緩和措置が適用されるためには、「十分な強度を有する30m以内の紐やワイヤーでドローンを固定する」こと、そして「飛行可能範囲内に第三者が立ち入らないよう管理措置を講じる」ことの2点を満たす必要があります。

条件をクリアすれば、以下の飛行に関しては許可・承認を得ることなく実施可能です。

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人口集中地区での飛行
  • 第三者から30m以内の飛行
  • 物件投下

ただし、空港周辺や緊急用務空域、150m以上の上空、イベント上空での飛行、危険物輸送などに該当する場合には、係留飛行であっても申請が必要です。

さらに、立入管理措置としては、看板やコーンを使って「関係者以外立入禁止」の表示をしたり、補助者を配置して口頭で注意を促すなどの具体的な行動が求められます。看板や人員どちらか一方でも構いませんが、状況に応じて適切に選ぶことが必要です。

このように、係留装置を活用することで、ドローンの運用の幅を広げながらも、安全性と法令遵守を両立することが可能になります。規制緩和を正しく理解し、条件を守って利用することが大前提です。

自作より市販の装置が優れている理由

ボクシング判定の瞬間 勝者と敗者
「ボクのヒコーキ」イメージ

ドローンの係留装置は自作することも可能ですが、安全性と機能性の面では市販の装置の方が圧倒的に優れています。

市販品には、あらかじめテンション調整機構や自動巻き取り機能などが搭載されており、飛行中に紐がたるんでプロペラに絡まるといった重大なリスクを防ぐ設計がなされているのです。特に、ドローンスパイダーのような装置は、ドローンの動きに応じてリアルタイムで紐の張力を調整し、安全な状態を保ち続ける機構を持っています。

これに対して、自作の場合は構造が単純であることが多く、テンションの調整が手動だったり、巻き取りの精度が不安定だったりするという欠点が。少しの遅れや誤作動が、紐の絡まりや断線、機体の墜落などにつながるおそれもあります。

また、耐久性や素材の強度に関しても、市販品は専門的な検証が行われているのに対し、自作品では信頼性の担保が難しいのが現状です。

例えば、釣り用の電動リールを活用して自作する方法もありますが、それでもテンション制御や地上での固定方法まで含めると、最終的には費用と手間がかかる上に、リスクも高くなる傾向があります。

さらに、市販の係留装置には、製品ごとに詳細なマニュアルが付属し、ユーザーサポートや保証も用意されていることが一般的です。これは万が一トラブルが発生した場合にも、対応がしやすく、業務用途などの現場では大きな安心材料となります。

このように、ドローンを安全に運用し、トラブルのリスクを最小限に抑えたいのであれば、多少コストがかかっても市販の係留装置を選ぶ価値は十分にあると言えるでしょう。

ドローン 係留 装置 自作に関する知識のまとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 自作すれば5〜10万円程度にコストを抑えられる
  • 市販品は15万〜30万円と高価だが安全性が高い
  • レンタルは1日あたり7,000〜15,000円で試用に適している
  • 紐の長さは航空法により30m以内に制限されている
  • 30m以内であれば特定飛行の許可が不要になる場合がある
  • ナイロンやポリエチレン製の釣り糸でも係留に使用可能
  • 強度は機体重量の4〜5倍を基準に選ぶ必要がある
  • 細すぎる釣り糸はプロペラへの巻き込みリスクがある
  • ワイヤーは耐久性があるが重量と取り回しに注意が必要
  • 係留によって安全性が高まり飛行リスクを軽減できる
  • 許可不要の飛行範囲が増えることで業務効率が上がる
  • 飛行範囲が制限されるため広範囲の運用には不向き
  • テンション管理が不適切だと機体が不安定になる可能性がある
  • ドローンスパイダーは自動テンション制御など機能が充実している
  • 自作装置は操作・安全面に不安が残るため初心者には不向き

最後までお読みいただきありがとうございました。

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